中国と台湾、閣僚級会談の裏で発生した強制退去・軟禁騒動
中国との提携をめぐり、台湾で新たな衝突が勃発した。台湾政策を担当する中国・国務院台湾事務弁公室主任の張志軍氏は6月25日、台湾に初訪問し、台湾桃園国際空港近くの「台北ノボテル桃園国際空港ホテル」で、台湾側の中国政策担当閣僚・王郁※キ氏と閣僚級会談を実施した。同ホテルには、張氏の訪台に抗議する団体のメンバーら7人が会談前日から宿泊しており、客室で抗議活動の下準備をしていたところ、警察が客室内へ強引に突入、メンバーらを10時間以上にわたって拘束したという。(※キ=王へんに奇)
頼んだ覚えのない不意の「ルームサービス」
会談では、中国━台湾間の経済協力や相互拠点事務所の設置などに向けた話し合いが行われた。これに対して「民主闘陣」などの抗議団体が「中国による内政干渉だ」と反発し、会談を阻止するため、前日の24日から同ホテルの客室に宿泊していた。ところが、25日午前9時ごろ、「ルームサービス」と称して、警察やホテルのスタッフ10数人が客室のドアを開けるよう要求。メンバーらに拒否されると、ドアを足で蹴り、押し破って中に突入した。警察が退去を求めるも断られたため、全員を客室内に軟禁。メンバーの一人は、突入時の動画をフェイスブックに掲載し、現場の状況や情報を発信し続けたが、投稿に気づいた警察がネット接続を切断。メンバーらは、ルームサービスで水や食料を要求するもホテル側に断られ、飲まず食わずの状態で10時間以上も隔離されたという。同日午後7時過ぎに会談が終わり、メンバーらはホテルの裏口から外へ出るよう要求され、警察の車両によって護送された。軟禁されたメンバーの一人で、弁護士の頼中強氏は「中国の官僚が来ただけで、我々の自由が奪われてしまうのか」と話した。
警察「軟禁の事実は一切ない」
26日朝、警察は記者会見を開き、ホテル側が「予約した人数と実際に泊まった人数が違うため、警察に通報した」とし、「ルールに違反したので宿泊契約を解除したと聞いた」と、ホテル側と口をそろえる。事件が発生したホテルは、台湾の航空会社「チャイナエアライン」が100%出資のホテル。チャイナエアラインは、台湾政府と国民党の資金によって設立され、のちに民営化した会社である。