野宿も覚悟…雷雨中止のJリーグの試合で「帰宅難民」300人以上救う 「嫌な思い出にしてほしくない」動いたサポーターやバス会社に感謝、ネットで”恩返し”話題
AC長野、大宮サポの”恩返し”でCF達成、ネット上で話題に
サッカーJ3のAC長野パルセイロが、製氷機と冷凍庫の購入費に充てるためのクラウドファンディング(CF)で目標額を達成したことがネット上で話題を集めている。長野市で24日夜に開かれた大宮アルディージャ戦は雷雨で中止に。列車の運休で帰れなくなった大宮サポーターを、AC長野サポーターや市内のバス会社がJR篠ノ井駅から約10キロ離れた長野駅に送り届けた。感謝した大宮サポーターの“恩返し”が広がり、目標額を上回る金額が集まった。 【写真】大宮サポーターを乗せて長野駅に到着したAC長野の選手送迎用バス
数百人が駅で「帰宅難民化」、AC長野サポ有志とバス会社が輸送
長野Uスタジアムで24日に開かれたAC長野と大宮の試合は、雷雨のため後半34分で試合中止になった。観客の多くはスタジアムで雨が収まるまで待った後、シャトルバスで篠ノ井駅にむかった。だが、北陸新幹線の通る長野駅との間は列車が運休。バスを降りた大勢の大宮サポーターが足止めされた。そこで、AC長野のサポーター有志やクラブスポンサーのバス会社が、「帰宅難民化」した300人以上を長野駅に送り届けたという。
「嫌な思い出にしてほしくなかった」「何とか助けたかった」
AC長野サポーターの男性は、大宮サポーターが帰宅難民化しているというネット掲示板を見て駅に駆け付けた。5人を長野駅まで運び、「長野に来たのを嫌な思い出にしてほしくなかった」と話した。バス会社は選手の送迎用バスも使って輸送。「駅で待っている人たちは不安で仕方なかったと思う。何とか助けたかった」と運転手を確保して協力した経緯を語った。
JRの「列車ホテル」で一夜明かした人も
タクシーもホテルも少ない地方の駅で、大宮サポーターの中には一時、野宿も覚悟した人もいたという。だが、一部は最終の新幹線に間に合ったほか、JRが用意した特急車両で約50人が一夜を明かした。大宮サポーターからはネット掲示板やX(旧ツイッター)を通じ、感謝の声が上がり、CFに寄付したという人のも相次いだ。
試合後に埼玉県からの寄付急増
AC長野は今季、選手のコンディション維持のために製氷機と冷凍庫を導入。350万円を目標に、7月13日にCFを始めた。AC長野によると、大宮戦前は目標の7割程度だったが、試合後に寄付が急増。多くが埼玉県からで、28日に目標を達成した。
CF達成「本当に感謝」
AC長野の広報担当者はCF達成について「ネット上の口コミが影響した。サポーターの行動を含めて本当に感謝しかない」と話している。試合成立の可否は後日決定。チケットの扱いについても決まり次第発表となる。