〈総選挙 私はこう見る〉「低負担低福祉で老人を切り捨てか、高負担高福祉で貧しさ共有か」 山本一郎
社会保障制度が破綻したときの恐ろしさは、文字通り人が死ぬことを意味します。そして、いまの30代、40代は制度改革がない限り自分たちが下の世代に養ってもらえず、さらにいまの20代以下は年金をもらうことができなくなるでしょう。そういう老後を、私たちは送りたいでしょうか。 本当は、いま日本人の選択として行わなければならないのは、アベノミクスや消費税、雇用といった目先の問題ではないと思っています。つまり、現状の年金や介護、医療の給付水準や制度を温存しつつ効率を引き上げてどうにかやっていく「高負担高福祉」か、年代ごとの再分配に切り替えるなど抜本的な社会保障制度改革を行って歳入に見合った水準まで福祉を切り下げる「低負担低福祉」かを、日本人は迫られているはずなのです。 財源なき政策論が無駄なように、いまの社会保障に関する各党の考え方は「低負担高福祉」のばら撒きであり、足りない分は国債発行で間に合わせて次世代や、まだ生まれてもいない日本人に全部背負わせる形に他なりません。 「産まないのが問題」という発言で感情的な議論をしている場合でしょうか。この豊かな日本をしっかりと子々孫々に受け継いでいく覚悟と行動を、いまの日本人がどうとるのかが問われる選挙のはずだったのですが。 ------------------------ 山本一郎(やまもと いちろう) 個人投資家。イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社代表取締役。投資業務とコンテンツ開発にかかわる。