両親ともに日本育ち…それでも、子どもには「インターナショナルスクール」を選択した理由
---------- 徐々に「学校の選択肢のひとつ」として注目を集めつつあるインターナショナルスクール。日本国内でも、その数は年々増えている。だが、小学校からインターナショナルスクールを選んだ場合、それ以降の進路は意外と知られていない。 【写真】両親は日本育ちでも、子どもには「インターナショナルスクール」を選んだ理由 これまでFRaUwebでは、教育系ウェブメディア『Bright Choice』の編集長であり、自身も子どもをインターナショナルスクールに通わせている佐久間麗安さんに、『インターナショナルスクールに通う息子が、日本の「中学受験」を検討した理由』『インター小に通った息子が「中学受験もボーディングスクール受験もしない」と決めた理由』、などの記事を通して、インター小学校の“その後”の選択肢について綴っていただいた。 今回は、長男が海外留学中、そして長女が日本のインターナショナルスクールに通学している佐久間さん一家が、そもそもなぜインター小学校を志願したのか、その理由をお伝えする。 ※以下、佐久間さんによる寄稿です。 ----------
インターナショナルスクールの願書に書いたこと
『Bright Choice』の佐久間麗安と申します。チャイニーズアメリカンの母を持ち、中学まで日本の公立学校に通いながらも、外には多様な世界が広がっていることを母から教わりました。 母のレガシーを受け継ぎ、2人の子育てをする中で、「子ども一人ひとりの個性に合ったチョイスをしたい」と考えるように。そして「多様な世界、一人ひとりの幸せの形が異なるように、教養もいろんな形があっていい。『自分らしい』子育てがあっていい」という想いから、子どもの個性を輝かせる教育系ウェブメディア『Bright Choice』を立ち上げました。 インターナショナルスクールのその後の進路というのは悩ましいもので、子どもがインターナショナルスクールに入学した後も、中学受験や北米ボーディングスクールなど、様々な学校を見学し、検討を重ねながら、右往左往しました(一貫校に通いながらも、高校まで国内インターナショナルスクールに通うことを検討しなかった理由については、連載第一回目をご参照ください)。 息子が海外に進学することを決めた今でも思うのは、小学校に入学前、インターナショナルスクールの願書に書いたことが、私たち夫婦にとっての子育てのゴールだということです。 当時、夫婦で喧々諤々議論しながら願書に書いたのは、以下のような内容でした。 ----- “We believe that an international environment, where uniqueness and distinctiveness are appreciated, would unleash his potential and largely expand his possibilities in the future.” 子ども一人ひとりの個性や特性に重きが置かれる国際的な学習環境が、 これからの時代を生きる息子が持つ能力や可能性を 引き伸ばす場である考えます。 “With his intrinsic curiosity and learning ability, he would be intellectually enlightened by developing self-confidence and appreciating various ways of thinking in such environment.” 好奇心と学習意欲の旺盛な息子にとっては、 「一人ひとりが違って良い」自他ともに認め合える環境で、 自信をつけて、多様な考え方を尊重する姿勢を持つことで、 さらに知的に啓発されることでしょう。 This understanding is one of the primary reasons to apply to ○○ International School. それが、私たちが○○インターナショナルスクールを志願する大きな理由の一つです。 ----- それは、子育て5年目のこと。息子は公立の保育園に通い、お友だちにも恵まれ、そのまま近所の公立小学校に進学するのが自然な流れでした。ですが、当時はGAFAの台頭が定着し、様々なイノベーションによって私たちのライフスタイルが加速度的に変わってゆくことを日々実感していた頃。 子どもが大人になる2030年以降の不確実性の高い世の中を想像しながら、彼らの生き抜く力を育てるには、「多様な環境に身を置くこと」が必要ではないかと、私たち夫婦は考えるようになったのです。 “Fundamentally we all believe that 1 plus 1 equals three. That your idea plus my idea is better than the individual ideas of their own.” 「基本的に、私たちはみんな1+1=3だと信じています。あなたのアイデア+私のアイデアは、それぞれ単独のアイデアよりも優れているのです」 というのは、最近聞いたPodcastのインタビューでTim Cook氏がAppleの企業カルチャーについて語っていたことですが、それこそまさに、当時私たちが子どもの学習環境に求めていたことでした。 私が主催する教育系ウェブメディア『Bright Choice』で2020年に実施した「インターナショナルスクール保護者アンケ―ト調査*」でも、インターナショナルスクール入学を決めた理由として最も多かったのが、「多様性」です。 また、その背景にある考えとして、「多種多様な人材とコミュニケーションを取り、世界で活躍できる大人になってほしい」「自ら何かを創り出し、社会に貢献できる人になってほしい」「言語や文化の壁を越えて、自己表現できる大人になってほしい」など、子どもたちにはボーダレスな社会を生き抜く人材になってほしい、という意見が多く寄せられました。 ---------- *アメリカンスクール・イン・ジャパン、東京インターナショナルスクール、西町インターナショナルスクール、セント・メリーズ・インターナショナルスクール、清泉インターナショナル学園、聖心インターナショナルスクール、 ケイ・インターナショナルスクールの保護者50人を対象に、インターナショナルスクールを選んだ理由、学校選びのポイントなど、多岐にわたってリアルな声を集めました。 ---------- インターナショナルスクールの特長といえば、「英語の学習環境」ですが、言語はあくまでツールでしかありません。昨今ますます人気が高まっているグローバル教育の要となるのは、“Learning Approach”「学びのアプローチ」です。 息子は、知的好奇心旺盛な子どもでした。学校では、1つの正解を求めるのではなく、多様な意見に刺激を受けながら、知性を広げて、1+1=3を体感する、創造的な学びを実践してほしいと思いました。 それは、これからの時代を生きるためのアプローチそのものです。子どもには、大人になっても、探求心を絶やすことなく常に学び続けながら、世界を開拓してほしいと願って、私たちは、子どもの小学校の進路として、多様性が重視されるインターナショナルスクールを志望しました。