一番人気の「かつ重」は300円未満! スーパー・トライアルが物価高時代に「安さ」で勝負できるワケ
総菜、弁当が安い 大サイズが多いのも特徴
八千代店は東葉高速鉄道・八千代緑が丘駅から徒歩10分の場所に位置する「ism 緑が丘」の、1階及び2階の一部に出店している。他にはパチンコ店やジム、ゲームセンターなどが入居しており、なかなか他の大手チェーンでは出店しにくいようなビルといえるかもしれない。千葉県八千代市という土地柄、客は自動車利用が主である。 店全体として通路が広いのが特徴的である。1階食品コーナーの入口には「とぴあみかん」「風みかん」「早生みかん」と、同じ青果が多種類並んでいる。価格面では精肉や総菜、弁当類の安さが目立つ。豚の小間切れと挽肉はいずれも100グラムで99円だ。 総菜は唐揚げや各種フライ、餃子が3~5個程度入ったパックで300円台。1パックで500円以上のケースもある他スーパーと比較すると、安い部類といえる。ファミリー層をターゲットとした、1~2人では食べきれないようなサイズのパックが多いのも特徴だ。 弁当も、コンビニや他スーパーと比較してかなり安い。いくつか例を挙げると、三元豚のロースカツ重が299円、のり弁が329円、その他ジャンボチキンカツ弁当は449円であった。PB商品もオリジナルの強炭酸水(500ミリリットル入り)が1本55円。カップ麺や菓子類などの加工食品に関しては、一般的なスーパーであまり見かけないものの、かなり安い商品が多くあるように感じた。
トライアルの強み「安さ」の秘訣は何か
トライアルホールディングス(HD)では、徹底したコスト削減によって低価格を実現している。消費者から見えるところでは、クレジットカードやQRコード決済への「非対応」が代表的であろう。 トライアルでは基本的に現金、またはプリペイドカードにしか対応していない。小売店側が決済業者に払う手数料はクレジットカードで3%前後、QRコード決済で2%前後である。営業利益2%台のスーパー業界にとって、こうした手数料は値下げの足かせになる。 IT施策もトライアルHDの強みだ。店内に設置するAIカメラは在庫状況をチェックし、欠品率の低減や行動パターンの分析に役立っている。また、半数以上の店舗に導入済みのSkip Cartも有名だ。 レジを通らずに決済できるタブレット端末付きのカートで、利用者はプリペイドカードをスキャンして買い物を始める。商品をカートに入れるたびにバーコードリーダーで読み込んで、専用ゲートを通れば商品分の金額がカードから自動で落とされる仕組みだ。Skip Cartは人件費の3割を占めるレジ要員の削減に貢献している。 これらの他、組織面では食品製造以外に物流や建設部門まで「自前化」し、中間業者を省いている。