司令塔の「姉」と大黒柱の「妹」 同級生で国籍も異なる「姉妹」がけん引した熊本・慶誠の快進撃 県勢初の準優勝【ウインターカップ】
◆バスケットボール・全国高校選手権ウインターカップ 慶誠54―59京都精華学園(28日、東京体育館) ■〝リアル〟広瀬すずに困惑!?「どえらい可愛かった」【写真】 女子決勝が行われ、熊本県勢として初の決勝に進出した今夏の全国総体8強の慶誠(熊本)が同覇者の京都精華学園に54―59(13―18、17―17、15―13、9―11)で惜敗。同県勢初&九州勢の女子で2006年度大会の中村学園女子(福岡)以来の優勝はならなかったが、九州勢女子の準優勝も2010年度大会の中村学園女子以来の快挙だ。 司令塔で主将の岸希(3年)と、セネガルからの留学生で身長187センチのロージョバ(同)が快進撃をけん引した。決勝では岸が40分フル出場で7得点を挙げながらゲームメイク。ロージョバは16得点14リバウンドで、最終クオーター途中で5つ目のファウルとなり退場となったが、強豪を相手に堂々と戦い抜いた。優勝まであと一歩に迫った歩みでは、岸の巧みなパスにロージョバが反応して得点を量産してきた。周囲も負けじとけん引されるように成長を遂げて、冬の頂点を争う決勝の舞台まで駆け上がってきた。 ともに1年生のころからチームの主力としてプレーしてきた。同級生ながら岸はロージョバを「妹」と言い、ロージョバは岸を「姉」と慕う。遠くセネガルから来日して言葉も使えずに「帰りたい時もあった」とさみしい思いもしたていたロージョバを支えた一人が岸だった。 「国が違えば私生活の部分であったり、文化の違いとかもある。そういう部分では日本のしきたりに合わせて教えていかないといけない。そういう部分ではやっぱりぶつかることも多かった。その他のチームメートよりもジョバとはけんかすることも多くて。でも、その分やっぱり信頼関係を築けてきて。ジョバも言う通り、私たちはもう姉妹みたいな関係になったかな」と岸は笑う。もちろん言葉のやりとりがうまくいかない時もある。それでも「うまく言葉が伝わらなくても逃げないと決めていた。私が逃げてしまったら、ジョバとの距離も離れてしまう」と真っ正面から向き合い固い絆が生まれた。 同時に多くの気づきももたらされた。「ジョバが来てびっくりしたのが、やっぱり日本人は人前で失敗をすることが恥ずかしいっていう気持ちが大きいと思うんですけど、ジョバは全体の中で(意見などを)聞かれた時とかにも、自分から積極的に声を出したり、自分が意見できる。失敗を恐れないっていう気持ちはジャパにすごい教わりました」とうなずく。チームにもたらした影響は大きかったという。互いに刺激し合い、支え合いながらの歩んだ3年間のゴールに、栄えあるメーンコートでの躍動があった。 ◆慶誠の今大会成績 1回戦 69〇62 和歌山信愛(和歌山) 2回戦 88〇40 仙台大明成(宮城) 3回戦 77〇60 昌平(埼玉) 準々決勝 62〇57 岐阜女子(岐阜) 準決勝 78〇65 大阪薫英女学院(大阪) 決勝 54●59 京都精華学園(京都)