リーダーは、第三者から得た情報をどのように当事者に伝えるべきか
フィードバックの処方箋
フィードバックというコミュニケーションにおいてもっとも望ましいのは、第三者を介さず、改善を望む本人が直接それを相手に伝えることです。それこそが真の意味でのフィードバックであり、受け手と与え手の間で信頼と透明性を構築し、より建設的な対話を促進する可能性が高まります。 一方で、組織においては実際にBさんのような立場に置かれることも多いでしょう。ある状況に対して、第三者からの批判的な情報が耳に入ったり相談を受けたりして、状況の改善に向けてその情報を活かしたほうがいいと考えるような場合です。 自分が手にした情報を、相手を無用に不安にさせず、改善や成長に直接つなげてもらうために伝えるにはどうするのがいいのでしょうか。第三者のフィードバックを伝達したばかりに、その相手との信頼関係がなくなってしまっては元も子もありません。 とはいえ実際には、直接伝えるのが難しいケースもあるかもしれません。その情報を手にした第三者が取り得る行動は二つあるのではないでしょうか。 一つは、フィードバックの発信者に対し、内容や発信者を開示することについて同意をもらったうえで対象者に伝えること。対象者が自ら情報を取りに行くことのできる環境を整えることです。 それも難しいのであれば、「一緒に伝えに行こう」と促すことです。 そもそも、組織にフィードバック文化が根づいていないからこそ、本人に直接フィードバックしにくいという状況が生まれます。だからといって、よかれと思ったリーダーが「伝書鳩」をやっていては、本当の意味での組織の活性化にはつながりません。 あなたの組織では、第三者からの情報はどのように扱われていますか? その時に、情報の間にいるリーダーは、どのように振舞っていますか? そのフィードバックは、当事者の行動変容と組織の活性化につながっていますか?
【参考資料】 ※1 ダニエル・ゴールマン(著)、土屋京子(翻訳)、『EQ~こころの知能指数』、講談社、1996年 ※2 サイモン・シネック(著)、栗木さつき(翻訳)、『WHYから始めよ』、日本経済新聞出版、2012年