【毎日書評】「自分で自分の機嫌をとれる人」が自然にできている3つのマネジメントとは?
機嫌がいい人と一緒にいると、こちらまで機嫌がよくなってきたりするもの。そう考えると、『「機嫌がいい」というのは最強のビジネススキル』(辻󠄀 秀一 著、日本実業出版社)というタイトルには大いに納得できるものがあります。しかも著者によれば、「機嫌がいい」は自らがつくり出せる“ひとつのスキル”なのだとか。 ただしそれは、ただ楽しければいいということではないようで、注目すべきは以下の指摘です。 「機嫌がいい」=「ごきげん」には、3つのマネジメント要素がある。「セルフマネジメント」「リーダーマネジメント」、そして「チームマネジメント」だ。(「はじめに」より) 「セルフマネジメント」とは、自分自身の心をマネジメントし、「機嫌がいい」を自ら導いて質の高いパフォーマンスを繰り出す能力のこと。 「リーダーマネジメント」は、まわりの機嫌に気づいて配慮し、まわりを「機嫌がいい」状態に導いてよいパフォーマンスを引き出すアプローチ。 そして「チームマネジメント」は、組織のトップとして「機嫌がいい」チームのあり方や組織文化にコミットし、責任を持つ姿勢。 このようなマネジメントができるようになるには、「人の仕組み」、とくに心や脳、パフォーマンスに関する「ヒューマンリテラシー」を高める必要があるそう。そこで、そのためのサポートを行うために本書が書かれたわけです。 ちなみに著者は、アメリカには「応用スポーツ心理学」というメンタルトレーニングをなんとか日本でも広めたいと強く思ったのだとか。そこで人気コミック『スラムダンク』を題材にしてメンタルトレーニングを紹介しようと、『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)を執筆。同書が広く受け入れられたことを契機に独立し、現在はスポーツドクター/産業医として活躍されているのだそうです。 そうした実績に基づく本書の第4章「『機嫌がいい』をビジネスに活かす」のなかから、きょうは「人的資本には『機嫌がいい』が不可欠」という項目に焦点を当ててみたいと思います。