中国の地方財政支援で新たな「融資平台」-国有2社が巨額の資金調達
(ブルームバーグ): 中国が地方政府の資金調達事業体(LGFV)を巡る「隠れ債務」リスクを減らすため大規模な債務スワップ計画を打ち出したことを受け、新たな仕組みが注目を浴びている。「中央政府融資平台」、つまり中央政府の資金調達事業体(CGFV)だ。
地方政府は公共事業などの資金を集めるため、多数のLGFVを設立。膨らみ続ける簿外債務が地方財政を脅かすようになったことから、中央政府は地方財政の支援に乗り出した。LGFVは「地方融資平台」などとも呼ばれてきた。
中央政府は現在、地方財政に対する監督を強化しているが、エコノミストらはそうした取り組みの一端をCGFVが担う可能性があるとみている。
国務院は11月、「経済安定と投資拡大」を目的として、中国国新と中国誠通という国有企業2社に対し総額5000億元(約10兆8000億円)という極めて巨額の資金調達を行うことを認めた。この種の債務が承認されたのは初めてだ。
ギャブカル・ドラゴノミクスの中国調査担当副ディレクター、クリストファー・ベダー氏(香港在勤)は、「中央政府が経済成長を支える上で財政面でより大きな役割を担い、地方政府が債務負担を管理するという広範な政策シフトの一環がCGFVだ」と指摘した。
LGFVは法律で定められた地方政府の借り入れ制限を回避し、インフラや不動産開発に資金を投入して経済全体の成長を支えるという点で効果的だったが、その透明性の欠如と投資リターンの低さが金融システム全体を危うくしている。
長年この状況に対処しようとしてきた中央政府は11月、主にLGFVの隠れ債務を地方政府の正式なバランスシートに組み入れるため10兆元規模のスワッププログラムを発表。大がかりな対策だが、国際通貨基金(IMF)が推定している隠れ債務の規模は60兆元で、その一角を対象としているに過ぎない。
CGFVとして機能すると期待されているのが、国新と誠通だ。ベダー氏によると、公式の予算措置が来年目標とする成長率の達成に不十分であると判断された場合、財政刺激策の一部として両社が活用される可能性がある。