CLO、エクイティー部分のリターン拡大-記録的ペースのリセットで
(ブルームバーグ): ローン担保証券(CLO)の中で最も高リスクなエクイティー部分のリターンが上昇している。過去最大ペースのリセットがリターンを押し上げている。
シティグループが2015年までさかのぼってまとめたデータによると、CLOの借り換えの一形態であるリセットは8月に260億ドル(約3兆7000億円)以上と米国での記録を更新した。初めて200億ドルを超えた6月の月間記録から大きく伸びた。
証券にパッケージ化するローンの数が不足しているため、新たなCLOの発行は減少する可能性がある。一方でCLOの需要は強いためのスプレッドは2年余りで最小水準に近づいている。
最もリスクの高いエクイティー部分の保有者にとって好機だ。リファイナンスによって資金調達コストが全般的に下がれば、資金調達コストとシニア債券保有者へのクーポン支払いの差額を稼ぐエクイティー保有者はより多くの利益を得られる。また、リセットは満期を延長するため、将来により割安なローンを見つける機会が増え、エクイティー投資家とCLOマネジャーの双方に役立つ。
この傾向は今後も続く見込みで、シティは年末までにさらに800億-1000億ドルのリセットとリファイナンスの発行を見込んでいる。シティは6日、今年の米CLO全体の発行見通しを上方修正した。
エクイティー以外のCLOトランシェの投資家は、CLOへの資産配分を維持できるためこれまでのところリセットに進んで応じている。今回市場に出ている案件の平均スプレッドは最も安全なトランシェで約140ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、過去2年の大半での200bpに比べ縮小している。
投資運用会社ヌビーンのストラクチャードクレジット部門責任者、ヒマニ・トリベディ氏は「景気後退、デフォルト、銀行危機によるリスクの中で22、23年にスプレッドは拡大したが、その後は縮小している」と指摘し「CLOが満期を延長するには良い時期だ」と述べた。