バイデン氏が次男を恩赦、従来の発言を翻す 米大統領の「身内」赦免、過去にも
バイデン米大統領は1日、銃の不法購入・所持で有罪評決を受け、税務不正で罪を認めた次男ハンター氏に恩赦を与えたと発表した。バイデン氏はこれまで、法に従うとしてハンター氏恩赦を否定する発言をしてきたため、この方針転換は米社会に波紋を広げている。今回はバイデン氏の恩赦について詳しく見てみよう。 「私は陪審員の決定に従うと言った。私は従うし、彼を恩赦するつもりはない」(2024年6月13日の発言) ホワイトハウスはバイデン氏がなぜ考えを変えたかについて詳細を明らかにしなかったが、大統領が家族を恩赦するのは初めてではないと指摘した。 <大統領の「身内」恩赦、過去には> 2020年、トランプ前大統領は義理の息子ジャレッド・クシュナー氏の父チャールズ・クシュナー氏に恩赦を与えた。クリントン元大統領は異父弟を恩赦した。 ジョージ・ワシントンに始まり歴代大統領が恩赦を与えてきたが、その中には不名誉な辞任をした前任者のニクソン元大統領を恩赦したフォード元大統領の事例も。 ジャンピエール報道官は2日、バイデン氏の退任後も「政敵」がハンター氏を標的にするとの懸念が恩赦の一因だと述べた。 <ハンター氏が赦免された罪とは> ハンター氏は、銃購入を巡るデラウェア州での有罪評決と、脱税を巡りカリフォルニア州で認めた有罪の2件で恩赦を受けた。同氏はまた、2014年1月1日から今年末までに「犯した、あるいは犯した可能性がある」連邦犯罪についても恩赦を受けた。 デラウェア州の陪審は、銃器購入に必要な申告書に薬物中毒者ではないと虚偽の申告をしたとしてハンター氏の有罪を認めた。カリフォルニア州では薬物や性的サービス、ぜいたく品に支出したのに、140万ドルの税金を支払わなかったとして刑事告発され、有罪を認めた。 ハンター氏はこれらの事件で、今後数週間のうちに量刑が示される予定だった。最長で数十年の禁錮刑が科される可能性があったが、量刑の指針では、はるかに軽い刑罰が言い渡される可能性が高いとされていた。 <恩赦のデメリットはないのか> 一部の共和党議員はバイデン一家の商取引を調査すると宣言しており、米下院や司法省がこうした調査を決定した場合、ハンター氏は証言を求められる可能性がある。 恩赦を受ける前であれば、米憲法修正第5条の自己に不利益な供述を強要されないとする権利を主張し、証言を拒否することができた。だが恩赦によって、対象期間中に犯したいかなる連邦犯罪についても、刑事上の危険にさらされることがなくなるため、この権利を行使する能力が制限される可能性がある。