「コンサルには頼らない」と断言する富士通社長が、なぜコンサル1万人計画を掲げたのか
「適材適所」ではなく「適所適材」
── 富士通では2024年に間接部門の幹部社員を対象に早期退職を募集したことも話題となりました。そういった人材こそまさにコンサル人材として活躍できる人材だったのではないでしょうか。 時田:(早期退職した人は)ものすごく絞り込んだ人たちです。 他社に行けば全然活躍できると思いますが、残念ながらうちは「適材適所」ではなくて「適所適材」です。ポジションや場がなくなったり、もしくは事業ポートフォリオが変わってカーブアウトした事業をやっていたりした人は、リスキルするか、一緒に外に出るしかないわけです。 リスキルのチャンス・やる気がある人は、もちろん残ってます。これは相当丁寧に(コミュニケーションを)取ってきました。もちろん当事者からすると全然丁寧ではないと思われる人もいるとは思いますが。 ── あくまでも「適所適材」、事業に対して必要な人材を充てる(あるいは、リスキルで育てる)という方針をぶらさなかったわけですね。 時田:ただ、例えば100人リスキリングプログラムを受けても、ゲーム(のように能力が確実に得られるわけ)ではないので、100人全員が立派なジョブチェンジを果たせるわけではありません。 何度か繰り返すうちに、その人の能力で活躍できる場が他にあるなら、積極的にそういうところに後押しをする。 そうしているうちに、富士通社内では、3年間で1万人ほど人材の移動がありました。ポスティング制度を始めて3~4年経ちますが、新しいジョブに挑戦したいと手を上げた人は2万7000人いました。 富士通ではジョブレベルに報酬が紐づいてるので、ジョブを変えない限り報酬は上がりません。報酬をもっと相応に欲しいという人は、手を上げて新しいことにチャレンジしていくしかありません。 ── スキルアップを前提に手を上げて「適材」になっていくことが求められるわけですね。 時田:UdemyやLinkedInといったリスキリングサービスを通じて、総学習時間はこの数年で4倍ほど増えました。それも20代、30代ではなく、40代、50代の学習時間が飛躍的に伸びたんです。 それはもしかすると危機感もあったかもしれません。ただ、40代、50代でもやる気がある人はいるということですよね。ましてや今、レガシーなシステムがいっぱいある中で、新しくクラウドへのリフトアップをやるためには、そういうノウハウがある人は必要ですから。
三ツ村 崇志