じつは「イラン危機」は「米国株の買い場」だと言える「納得のワケ」
相場の格言通りであれば米国株は買い
戦争に関わる相場の格言のなかに「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」という言葉があります。これは戦争の地理的位置によって投資戦略を変えるべきだという意味です。 【マンガ】「長者番付1位」になった「会社員」の「スゴすぎる投資術」の全容 これは遠くで発生した戦争の場合、直接的な影響が自国や自国の市場に及ぶことは少ないため、そのような状況下で自国や戦地から遠い他国の株価が下がると、それは投資のチャンスと見なされます。この状況では株を買い増しすることで、将来的な回復に備えることも投資の選択肢の一つです。 この格言に沿った考えをするのであれば、イスラエルとイランの応酬は米国株にとっては「買い場」を意味します。 またイスラエル、イランの両国の報復が拡大していない状況を見る限り、これは自国向けのアピールという側面が強いことが指摘され、中東危機には発展しない確率が高いでしょう。 そのため、この出来事は米国株の下げ要因にはならず、むしろ買い場であると考えるほうが論理的です。
日銀の為替介入の可能性
米国株が買い場である一方、円安が進む日本では日銀の為替介入の可能性も想定しておくべきでしょう。 そもそも為替市場とは、国際経済において重要なバロメータの一つです。政府や日本銀行が為替市場で円と外貨の売買を行う「為替介入」は、度重なる円安または円高を是正し、通貨の安定を図るための戦略的措置として位置づけられています。このプロセスには主に「円買い介入」と「ドル買い介入」の二つの形態があります。 円買い介入は、過度に安価になった円を支えるために、大規模にドルを売って円を買うことによって円価を押し上げる操作です。逆に、円高が進み過ぎた場合には、円を売りドルを買い戻すドル買い介入が行われます。これらの操作により、不安定な為替レートを調整し、経済的なバランスを保とうと試みます。 日本では財務大臣の権限において為替介入が実施され、国際金融の専門家が適切なタイミングでの介入を判断します。実際の操作は日本銀行が代行し、国債の発行などを通じて必要な資金を調達することがあります。 特に興味深いのは、単独介入と協調介入の戦略的選択です。単独介入は、日本単独で行う介入で、近年では2022年の円買い介入がこれに該当します。一方で、協調介入は複数国が共同で行うもので、歴史的に重要な例として1985年のプラザ合意が挙げられます。この合意により、ドルの過度な強さを調整するために、主要5カ国が共同でドル売りを行いました。 しかしながら、為替介入は通貨の安定を目指す一方で、潜在的なリスクも伴います。介入によって通貨の価値が人為的に操作されると、市場の自然なバランスが崩れる可能性があります。 また、無制限の介入は通貨の信頼性を低下させるリスクも持ち合わせています。 利上げという別の手段も円安対策には有効ですが、これには経済活動に対する抑制効果が伴います。 現状、円相場が対ドルベースで1ドル155円を試すようなタイミングで為替介入の可能性が高いと言われ、投資家の心理としても155円がひとつの節目になるのが現在の為替相場の争点と考えられます。 そのため投資家は、これらの動きを理解することが重要です。