福島県内の2025年産主食米作付目安 前年実績と同規模 10市町村で面積増 被災地の営農再開後押し
福島県やJAでつくる県水田農業産地づくり対策等推進会議は26日、県内の2025(令和7)年産主食用米の作付面積目安を発表した。2024年実績と同規模の5万6500ヘクタールとする。コロナ禍で落ち込んだ主食用米の価格が持ち直し、農家の生産意欲が高まったことで作付面積は前年の目安から増加傾向にある。ただ、人口減少や食文化の多様化などで需要は減ると見込まれ、県とJAは需要と供給のバランスが崩れて価格が暴落しないよう、輸入依存度の高い麦や大豆などへの転作を促す。 同日、福島市で開いた説明会で示した。水稲を栽培している県内58市町村別の2024年産実績と2025年産目安は【表】の通り。東京電力福島第1原発事故被災地の営農再開を後押しするため、10市町村は2024年産実績より増やした。一方、コメの需給バランスを保つため、42市町村は減らし、実績が2024年産作付面積の目安を下回った6市町村は現状維持とした。
2024年産の福島県の主食用米の作付面積の実績は、目安から3400ヘクタール増え5万6500ヘクタールだった。県産主食用米の多くは外食などで使われる「業務用」として流通している。アフターコロナによる外食需要の高まりなどで価格が回復傾向にあり、飼料用米などから主食用米へ転換する生産者が増えたとみられる。コメの価格は依然高い水準で推移している。農家の生産意欲の高さが予想されることから、推進会議は国の見通しを踏まえた上で、2024年産の実績と同規模の目安とした。 国の食料・農業・農村政策審議会企画部会によると、国内では、高齢化に伴う消費減などを背景に年間10万トン程度の需要減が続いているという。推進会議は主食用米の作付けが過度に増えれば在庫が増え、価格の下落につながる可能性があると指摘。県内にある地域農業再生協議会との意見交換やチラシの配布を通じて計画を周知する考え。 推進会議会長の今泉仁寿JA福島中央会常務理事は「生産が増え続ければ価格が暴落する可能性がある。農家の所得を守るため、中長期的な視点で計画生産を守ってほしい」と話した。