会社員時代に「人生つまんなくて」ラッパーに挑戦した女性が、フォロワー104万人の料理家になるまで
ラップバトルに挑戦したことも
――どうしてフリースタイルラップだったのですか? もあい:とにかく「今の人生が嫌だ」という気持ちが強くて、何か変えたかったんだと思います。音楽経験はまったくなかったのですが、当時『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)というラップバトルの深夜番組が大好きで、日本語遊びがすごく面白くて。なぜか「これなら自分にもできるかも」と思って、勢いで大会に出て初めて人前でラップをしたんですが、何もできず負けました(笑)。 ――会場ではどんな反応だったのですか? もあい:普通の会社員の女子がラップをやっているのをすごく珍しがられて、主催者の方に「どうして来たの?」と聞かれました。「人生つまんなくて」といろいろ説明したら面白がられて、「イベントを手伝ってよ」と言ってもらって、YouTubeのラップバトルに出させてもらったりするようになりました。 そこでイベント会社の社長さんと知り合ったのですが、その方が私の抱いていた社長像と違って、いい意味ですごく“普通の人”だったんです。それまでは、サラリーマンという生き方しか自分の中になかったのですが、「こういう人が独立して成功しているなら、私も挑戦してみようかな」と思うようになりました。 ただ、ラップは全然向いていないので、自分に向いていることを考えた結果、料理で独立を目指すことを決めました。
「何でもいいから実績を作ろう」と始めたInstagram
――Instagramでの発信を始めたのはなぜだったのでしょうか。 もあい:最初は、起業して食品メーカーのパンフレットを作る会社をやりたいと思っていたんです。でも何の実績もない私が「パンフレットを作らせてください」と言っても誰も相手にしてくれないと思ったので、「何でもいいから実績を作ろう」と思って始めたのがInstagramでした。簡単なレシピと料理写真を投稿して、「料理の写真が上手い人と思ってもらえたら仕事につながるかな」と思って、フォロワー1万人を目標にして始めました。2019年4月1日から本格的にスタートして、毎日投稿を今も欠かさず続けています。 ――フォロワー数を伸ばすために工夫したことはありますか? もあい:料理写真のカメラ教室に通ったり、カメラマンの方に撮影を教えてもらいに行ったりしていました。前職の先輩で、料理系インフルエンサーとして活躍されている方がいたので、土日はその方の料理アシスタントをさせてもらいながら、どうすればうまいくか相談をさせてもらいました。 2020年にレシピ動画を投稿するようになってから、フォロワー数が伸びるようになりました。クラシルさんなどのスマホで見られるレシピ動画が流行りだしたころで、個人でレシピ動画を投稿している人があまりいなかったんです。 ――動画制作は自分でやっていたのですか? もあい:動画編集を学びながら自分でやっていたので、1分の動画を作るのに5時間くらいかかっていました(笑)。ちょうどその頃、会社を退職して有休消化の期間があったので、高校時代の同級生で映像制作会社をやっている友人に動画編集を教えてもらっていました。ラップをやっているのを知ってくれていて「面白いことやってるね」とDMをくれたんです。