<東日本大震災4年>被災地のシングルマザー、消えない子育て・生活への不安
被災者扱いにならず少ない補助
一方、同じ市内に住むシングルマザーの田中祐美さん(仮名、45)は、付き合っていた男性の浮気が発覚した頃に妊娠が判明し、以来、一人で長女を育て、震災にみまわれました。これまで結婚しなかったのは、「一緒に苦労を共にしたい」と思う人に出会えなかったからだといいます。現在は仕事を病気で休業中の身です。 その田中さんが住んでいるアパートは「床下浸水」でした。そのため、法的には「被災者」扱いされません。被災者と認められれば、仮設住宅への入居や家賃補助、今後整備される復興住宅への入居、見舞金などの金銭的・生活的な補助が受けられますが、田中さんはそれらの支援が受けられないのです。現実的に「床上浸水」(被災者)扱いとなれば、仮設住宅に入居もでき、家賃負担がなくなりますが、「床下」だったため、震災前と同様のアパートに住んでいます。もちろん、家賃を支払いながらです。それらの修復・購入にも費用はかかります。車も津波にのまれたため、新たに購入しました。 経済的に余裕があれば問題ありませんが、休業中の田中さんには重くのしかかっています。 田中さんのケースのような被害について、石巻市は実害はあったものの、被災の程度が高いとは判定しませんでした。田中さんは判断の差について怒りをあらわにします。 「例えば、アパートの一階が全壊か大規模半壊だったとします。すると、2階は実害がないとしても、同じ扱いになります。おかしくないですか?」 田中さんには母子手当と児童手当が入りますが、それだけでは足りません。被災者扱いではないため、義援金ももらえません。 公的な義援金は1円ももらっていないのです。そのため、現在、付き合っている男性からの援助が頼りだといいます。
「震災前」と「震災後」のひとり親で格差
宮城県の調査(2013年度)では、仙台市を除くと、「母子世帯」が最も多いのは石巻市で1939世帯。ついで大崎市が1458世帯。登米市が1045世帯。気仙沼市が739世帯などとなっています。 震災前からのひとり親(一般世帯)と、震災後のひとり親(震災世帯)とで収入格差があります。「震災世帯」の収入は「200~250万円未満」が最も多く14.3%。ついで「250~300万円未満」が11.0%となっています。 それに対し、「一般世帯」は「100~150万円未満」が17.7%がと最も多く、ついで「150~200万円未満」が16.1%となっています。震災世帯であれば、遺族年金や民間の保険などによって経済的に余裕でてきます。しかし、一般世帯の場合、もともと働く条件などで職種が限定されがちです。