<東日本大震災4年>被災地のシングルマザー、消えない子育て・生活への不安
復興住宅入居なら家賃が負担に
斉藤まなみさん(43、仮名)は、震災前の2007年、息子が3歳になるときに漁師だった夫を船の事故で亡くしました。斉藤さんは現在、保険の外交員をしていますが、震災時は無職で、夫の遺族年金などで生活していました。 地震があったとき、子どもが通う小学校へ向かいました。学校には友人の子もいて、不安そうにしていました。友人が来ないことが心配になったためマンションに向かうと、彼女は腰を抜かして立てない状況でした。そのため、もう一度学校に戻って、彼女の子どもを迎えに行ったのです。 こうした助け合いができるのは、日ごろから近所と助け合いができていたからです。シングルマザーにとって、こうした絆はとても貴重です。いまでも息子は学校から帰宅後、近所の家に直接向かいます。「子どもにとっても自分の祖父母のような存在」といいます。 斉藤さんが住んでいた借家は津波で「全壊」扱いとなり、現在は民間住宅を借り上げた「みなし仮設住宅」に住んでいます。みなし仮設住宅は、県が民間賃貸住宅を借り上げ、一定額の家賃や共益費などを2年間負担する制度です。仮設住宅と同じで、国費と県費でまかなわれ、借り主の負担額は世帯人数や間取り、市町村の家賃相場によって変わります。 斉藤さんは石巻市内に住んでいます が、以前の借家からは離れてしまい、子どもが通う学校も転校を余儀なくされました。地域の絆もまた再構築となったのです。 「当初は友達がなかなかできませんでした。そのため、前の学校の友達と遊んでいたのですが、そのたびに、車で送迎していました」 いまでは学校の友達もでき、小学校5年生になってからは、一人で留守番もできるようになりました。「いまの不安は子どもの学力。なかなか勉強を見てあげることができません」。 中学に進むようになると出費も多くなるため、生活を切り詰め、貯蓄をしています。収入は10~18万円。このうち、交通費と会社の駐車場代が消えます。保険外交員をしていると、客への贈り物なども必要になりますが、それは自己負担です。実収入は額面の半分だとか。今後、「復興災害住宅」に住むようになれば、家賃負担が出てきます。 借家が全壊扱いとなった斉藤さんは、復興災害住宅に入居することが可能です。 家賃は入居者全員の一年間の所得の合計額から、公営住宅法に定める控除額を差し引き、12か月で割って政令月収を算出し、その金額によって家賃区分(収入分位)が決まります。例えば、10万4001円~12万3000円の政令月収の場合、2LDKで2万6600~2万7900円になります。