<東日本大震災4年>被災地のシングルマザー、消えない子育て・生活への不安
4年前の東日本大震災によって、被災地のシングルマザーたちは、経済的な問題や精神的サポートの欠如などから悩みを深刻化させています。ひとり親世帯への行政支援としては、児童福祉手当や福祉資金貸付制度などがありますが、被災地では、同じ程度の支援では生活が立ち行かなくなるケースがみられます。精神的にも傷つき、被災による引っ越しで地域との絆も失い、困窮から抜け出す緒が見つからないシングルマザーの現状を聞きました。 【動画】気仙沼の復興はどこまで進んだか? マルチコプターから見る
行政の助言なく母子手当てもらえず
岩手県沿岸部在住の佐々木陽子さん(28、仮名)の夫(24)は、震災後、急に行方不明になりました。その後、突然現れたと思ったら、離婚を切り出してきました。借金をしていたというのです。結局、別れることになりましたが、離婚後には彼が浮気をしていたことも判明しました。 「元夫と結婚するときに、過去の話はタブーでした。そのため、この先、何かあるのかもしれないと思っていたのですが、本当にあったとは……。でも信じていたんです。この傷は一生消えません」 震災前に家族で住んでいたアパートは津波で全壊しました。離婚もしたため、現在は、実家に住んでいます。3人の子どもがいますが、長女(6)はまだ記憶があり、パパの話題を出すことがあります。長男(3)はパパの顔を覚えていません。離婚時にはお腹にいた次男(1)はパパの存在を知りません。 「子育ての考え方の違いもあって、両親とはよく喧嘩します。なんで世話になっているのに親に反発できるのでしょうと自分でも思うのですが……」 子育ては時代とともに変化します。価値観のズレが生じ、両親との同居以前には感じることがなかった問題に直面しているのです。 陽子さんは母子手当をもらっていません。両親との同一世帯となったためです。世帯分離をしていれば得られたはずですが、行政からのアドバイスはありませんでした。元夫からの養育費も振り込まれません。 「役所は何も教えてくれませんでした。前から兆候があったら相談できたのかもしれない。なんで私だけこんな目にあわなきゃいけないの? 愚痴を言える相手もいない。精神的なサポートでいいから欲しいです」