「人間は基本、皆しょうもない」森田剛×赤堀雅秋が初タッグで挑む舞台『台風23号』に迫る!
こんな森田君は見たことないな、というものを書くだけ
――そんな“非常に人間らしく、生々しい”森田さんが、本作ではどのような人物として現れるのでしょうか。 赤堀 “しょうもない人”だと思いますよ(笑)。でも人間って多面性があるから、すごく善人に見える人でも、ある人からはすごく狂気の人に見えたりもする。今こうして物静かでナチュラルな佇まいでいる森田君も、腹の中では何考えているかわからないし、裏で何をやっているかわからないですし(笑)。だからキャラクター云々は、ちょっと説明しづらいのが正直なところで。でも人間は基本、皆しょうもないと思っているんです。自分も含めて(笑)。そのしょうもなさの中に、何か愛すべき部分や美徳があるのかもしれない。今回に限らず、いつもそういうものを描きたくて作劇しているつもりです。 森田 僕も普段から自分のことを、しょうもないな、やりたいことも出来ていないし、何だろうな~と思って生きているので(笑)。だからそういう人は、僕にとってはどこか救われるところがあるんですよね。 赤堀 基本、当て書きをするタイプの劇作家なので、それで一回食事をさせてもらったんです。その俳優さんが他の作品でどんな芝居をしているかというのは、あまり参考にしないですね。むしろ、もう少し素の状態の佇まいを自分が肌で感じて、何かインスピレーションを起こして描きたいなと。例えば森田君なら、今までこんな森田君は見たことないな、こういう森田君が見られたら面白そうだなという、あくまで自分のド偏見で書くだけなんです。 森田 僕も一緒です。稽古が始まって、台詞を交わしてみてからのほうが、どういう人なのかがわかると思うし。それまでは僕も“こういう人かも”といった印象はいらないですね。 赤堀 とくに今回、初めて仕事をする人が多いんですね。過去に僕が仕事をしたことがあるのは秋山菜津子さんと駒木根隆介君だけかな。 森田 僕も秋山さんは以前に一度、ご一緒しています。その時はお母さん役でした。 赤堀 こういう初めての人が多い座組も自分の中では珍しいので、不安もものすごくありますけど、同じくらい期待もありますね。