日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか(7完)フジテレビジョン
民放キー局のフジテレビジョンが、動画および電子書籍配信サービス「フジテレビオンデマンド(FOD)」の提供を開始したのは2005年9月のこと。現在は動画約4万本、コミック約28万冊、雑誌約100冊(最新号のみ)を配信し、有料会員は約80万人に上る。総合事業局コンテンツ事業センター コンテンツ事業局長の山口真(まこと)氏(56)は「FODは本業の一翼を担う存在になる。発想を変えればテレビはなくならない」と語る。 【グラフ】日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか(1)動画はネットで観る時代に
5G整備が進めば動画の伝送路のグレード上がる
──動画配信サービス事業の現状はいかがですか。 山口 現在、FODの会員数は約80万人、月間アクティブユーザー(MAU)は約500万人です。サービスの中でも、月額888円(税抜)でドラマや映画、バラエティなどが見放題になる有料サービスの「FODプレミアム」が非常に伸びています。私の感覚では、2017年からよく伸びてきている印象です。 ── 伸びている要因は何でしょうか。 山口 (テレビ番組を広告付きで無料配信する)「TVer(ティーバー)」の定着などによって、ネットで動画を見る人の母数自体が拡大しているためではないかと考えています。私自身、通勤電車の車内ではスマホなどで動画を見ている乗客が増えたように感じます。 ──フジテレビにおける動画配信サービス事業の位置づけを教えてください。 山口 本業の一翼を担う存在になると見ています。ただ、これはテレビに取って代わる、というのではなく、テレビとネットの両方で視聴者の皆さんに動画を楽しんでもらう、という意味です。これから東京五輪・パラリンピック大会が開かれる2020年に向け、(高速大容量の次世代通信規格)5G環境の整備が進むと動画を配信する伝送路のグレードが1段も2段も上がります。それが1つの大きなポイントとなって、動画配信サービスの浸透が加速するでしょう。 ──フジテレビの強みを教えてください。 山口 ドラマであれ、バラエティであれ、日本のユーザーに受け入れられる動画コンテンツをオリジナルでつくり出せる力です。ただ、世の中のニーズは多様化しており、多くの人々に注目されるような動画コンテンツ作りは難しくなっています。制作面では今までの蓄積がありますが、心してかからねばなりません。