マツダの専売特許じゃない!? いまや幻の「ロータリーエンジン大国」ラインナップは驚愕の20種類!
えっ、RE量産車ってマツダだけじゃないの?
ロータリーエンジン(RE)といえばマツダ。そのようなイメージを抱く人は多いでしょう。しかし、マツダが並々ならぬ苦労の末にREの量産化に成功し、RE技術の発展に多大な貢献を果たしたのは事実であるものの、マツダ以外にも各国の様々なメーカーがREに可能性を見出し、同様に研究開発を進めていました。 【知ってた?】これが長年知られていなかった旧ソ連製ロータリーエンジン車です! しかも、そのうちの数社は耐久性や燃費などの問題に苛まれながらも市販化にまでこぎ着けています。今回はそんなマツダ以外のRE車を見ていきましょう。 そもそもREは、ドイツ人技術者のフェリクス・ヴァンケル博士が1950年代に発明したエンジンです。仕組みとしては、吸気・圧縮・燃焼・排気の4つのサイクルで動作するため、一般的なガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどと同じですが、ピストンが往復運動をするのではなく、まゆ型のハウジングの中を「ローター」が回転することで動力を得るというのが特徴です。 REの長所は、同出力のエンジンと比べると軽量・コンパクトなため、搭載位置の自由度が高く、前後重量配分に優れること。また、振動が少なく静粛性に優れ、燃焼温度が低いことから排ガスに含まれる窒素酸化物濃度が低く、ノッキングが起こりにくいことなどです。 一方、REの短所は、高回転型の特性となるため同出力のエンジンに比べて燃費性能とトルクに劣るという点。また、エンジン内部のシール材の使用が多く、高負荷がかかることからシーリングの確実性や耐久性が低く、ローター内部の潤滑用としてオイル消費が多い点などです。
REの元祖 生みの親を擁したNSU
世界に先駆けてREを開発したのは西ドイツのNSU(現・アウディ)です。このメーカーの創業は1873年で、オートバイと小型車を製造していました。REの開発はヴァンケル博士によって1951年に始まり、1957年に最初の試作エンジンの運転に成功しています。 このエンジンは耐久性に難があるものでしたが、問題を解決できないままNSUは、1963年に世界初のRE搭載車としてリアエンジンのオープンスポーツカー「スパイダー」を発表します。ただ、このクルマは実験的な性格が強く、生産台数も2375台に過ぎなかったことからNSU製REの問題は表面化することはありませんでした。 1967年に2ローターエンジンを搭載したFFセダンの「Ro.80」が発売されると、当初はその革新的な設計が評価され、1968年度のヨーロッパ・カー・オブ・ザイヤーを受賞しています。しかし、のちにシール不良の問題や、AT車のトルクコンバータ不良の問題が顕在化した結果、NSUは相次ぐクレーム対応に忙殺され、信用を大きく損なったことにより経営が傾いてしまいました。 その結果、フォルクスワーゲンのアウディと経営統合され、NSUのブランドは消えることになったのです。なお、マツダはREに関するパテントを同社から取得しています。