あと7個に迫ったイチロー 500盗塁の価値
イチローがもうひとつの偉大なる記録達成へ足踏みしている。6月14日と15日に、2試合連続で盗塁を決めたイチローだったが、この日のジャイアンツ戦でも2打数ノーヒット。7試合、20打数ヒットがなく、16日以降、25打数4安打、1四球で、打率.160、出塁率.200と、出塁そのものが限られ、今季盗塁数は「6」のまま。メジャー通算500盗塁へあと7個とカウントダウンしたまま進まない。 そもそも盗塁に関して、今季はスロースタート。4月にはクリスチャン・イエリッチがヘルニアで離脱したことから、代打での起用が定着した5月中旬以降の傾向と比較すると、 “13試合も”スタメン出場があったが、盗塁を試みたのは1回だけ。その1回は失敗だった。5月は6回トライし、3回成功したものの失敗も3回を数え、らしくない走塁が続いたが、6月は、3回盗塁を試みてすべて決めている。 いずれにしてもこのペースだと、500盗塁達成は8月までもつれ込みかねないが、27、28、30日は、本塁打と打点の2冠王だったジャンカルロ・スタントンの長期離脱に伴ってイチローがスタメン出場。彼の復帰までは6週間程度と見られているので、少なくとも7月いっぱいはイチローの出場機会が増えると考えれば、過去、1試合で4盗塁を決めている選手である。今後一気に、という可能性はあるだろう。 さて、その大きな節目に到達すれば、メジャー通算38人目だ。 メジャー通算3000本安打は29人。メジャー通算300勝は25人。それと比べれば人数が多いので、同等と認められているわけではなく、18人しかいないメジャー通算600盗塁を達成したときこそ、超一流のベーススティーラーとして一般には評価されているが、組み合わせ次第では、特別な領域となる。 イチローは、1日現在、あと114本でメジャー通算3000本安打に到達するが、歴代でもメジャー通算3000本安打、500盗塁以上を記録したのはわずか6人だ。 1. リッキー・ヘンダーソン 3055安打、1406盗塁 2. ルー・ブロック 3023安打、938盗塁 3. タイ・カッブ 4189安打、897盗塁 4. エディ・コリンズ 3315安打、741盗塁 5. ホーナス・ワグナー 3420安打、723盗塁 6. ポール・モリター 3319安打、504盗塁 ここに通算打率を加えると、さらに限られる。 イチローの通算打率は.316だが、メジャー通算3000本安打、500盗塁、通算打率3割以上となると、イチローは、カッブ、コリンズ、ワグナー、モリターに続いて5人目だ。モリター以外は、1890年代の後半から、1900年代の前半にかけて活躍し、そうしたすでに鬼籍に入っている名選手を蘇らせるのはイチローの記録の一面でもあるが、意外にもツインズ監督のモリターが、こんなところで存在感を示している。