花園でロスタイム18分の死闘に涙をのんだ主将が4年後、東海大学の共同主将に 悲願の日本一へ「夢は終わらない」
FW・BKとも好調 3戦連続60得点超え
関東リーグ戦で、初優勝以降の17シーズンで13度優勝している東海大だが、大学選手権では頂点に立つことができていない。しかも一昨年、昨年は2シーズン連続で初戦の準々決勝で敗れ、ベスト8に終わっている。近藤は「自分も試合に出ていて、2年連続で悔しい思いをしている。準々決勝は自分たちの中で一番大事なターゲット」と、先を見据え語った。 関東春季大会は帝京大学、明治大学、早稲田大学と、関東対抗戦の強豪に負けて2勝3敗だったが、夏合宿では関西王者の京都産業大学と35-35で引き分け、昨年の大学選手権で負けた天理大学は41-19で倒すなど、調子を上げてきた。「昨季はチーム全体で、この場面ではこれをやるとか、ゲーム運びとか、オプション選択とか、セットプレーの安定など、整理されていない部分があったので、大学選手権をイメージして、そういった意思統一を夏合宿からやってきた」 その練習の成果がさらに出たのが、関東リーグ戦の開幕3連勝だろう。関東学院大学戦(61-31)、立正大学戦(60-5)、日本大学戦(62-31)と、ディフェンス面でやや課題は残るが、FWのセットプレーの強さ、そしてチャンスでしっかり取り切るBKの決定力が際立っている。 昨年はなかなか武器とは言えなかったFWのセットプレーに関して、BKの近藤は「今年は手応えがあります。昨年以上に取り組んでいるのでやってくれると思います」。さらに「トーナメント(の大学選手権)になったときに大事になってくるのはディフェンス面。自分だけでなく、チーム全体でもそう思っています」と語気を強めた。
「プレー中にノーサイドが来た」名言から4年
大阪府大東市出身の近藤は、大阪・大東高校、桃山学院大学でラグビー部だった父の影響で、7歳から、大阪桐蔭のグラウンドで練習しているOTJラグビースクールで競技を始めた。ポジションはずっとCTBやSOだという。高校1年の妹がおり、神戸の強豪・親和女子のバレー部に所属している。 慶應義塾大学のLO中矢健太(4年、大阪桐蔭)は、小さい頃からいっしょに楕円(だえん)球を追っていた仲で、小学校時代はいっしょに全国大会の一つヒーローズカップに出場。大東市立住道中学校3年時は、帝京大学4年のFB小村真也(ハミルトンボーイズ高)、京都産業大学4年の辻野隼大(京都成章)らとともに大阪府中学代表に選ばれて、全国ジュニア大会で神奈川県を下し優勝した。 高校は、小さい頃から通った大阪桐蔭ではなく、同じ大阪の強豪である東海大大阪仰星へ進学した。「仰星で、よりラグビーを理詰めで考えるというか、探求するという意味で、ラグビーの原理原則や考える基盤ができたのかな。もちろんスキル、フィジカルも向上しましたが、ラグビーをプレーするにあたって頭の中の成長を一番感じることができました」(近藤) 高校3年時、キャプテンとして「花園」こと全国高校ラグビー大会に出場し、準々決勝で東福岡と対戦。ロスタイム18分の熱闘を演じて、21-21で引き分けたが、抽選の末、準決勝に進むことはできなかった。試合後、キャプテンだった近藤は「(敵味方30人での一体感を感じ)プレー中にノーサイドが先に来ていた気がする」という名言を残した。「その話は嫌というほど聞かれたのですが、自分が出場していたという記憶と記録を残すことができたのかな」と苦笑した。