【宮田莉朋F2密着】オーバーテイクショー炸裂。7レースぶりの入賞の価値と自信/第9戦レビュー後編
7月21日(日)に行われた2024年FIA F2第9戦ブダペストのフィーチャーレース。予選18番手の宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は、3番グリッドのアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がピットレーンスタートとなったことで、事実上17番手からのスタートとなった。 【写真】FIA F2参戦中の 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ) タイヤ交換義務があるフィーチャーレースで、宮田がスタート時に選択したタイヤはプライムタイヤ(ハード/ホワイト)だった。 「後ろからのスタートということありましたが、土曜日のスプリントでオプション(ソフト/レッド)が意外と保ったというのが大きな要因です。その上でおそらく上位勢はオプションでスタートするだろうから、だったらプライムでスタートして、レースの半分を過ぎたら、いつでもオプションに交換しようと思っていました」と、宮田。 「28周のスプリントレースが問題なかったので、それから9周だけ長いフィーチャーレースなら、半分だったら問題と考えたわけです。ここはコース上でオーバーテイクが難しいサーキットなので、タイヤの違いで抜くしかないと考えていました」 ところが、レースは7周目にポールポジションから出遅れたポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)がゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)に追突し2台はリタイア。これでセーフティカー(SC)が導入される。 このタイミングでのSC導入によりオプションタイヤ勢は軒並みタイヤ交換義務を消化し、硬めのタイヤで引っ張る作戦だった宮田らプライムスタート勢にとっては不利な状況となった。 「あのときは、正直チャンスを失ったかなと落胆しました」という宮田は、6番手(未交換組5番手)からレースを再開。するとレースが半分を過ぎた22周目に、ふたたびアクシデントが発生し、この日2度目のSCが導入された。 「2度目のSCの際にはレースも半分を過ぎていたので、“もう行ける”と思ってオプションタイヤに交換して、その後はポジティブにレースをすることができました」 そう語る宮田は2度目のSC中に迷わずピットイン。14番手にポジションを落とすが、新品のオプションタイヤでその後、オーバーテイクショーを繰り広げて8位でフィニッシュ。第6戦バルセロナのスプリントレース以来、7レースぶりのポイントを獲得。フィーチャーレースに限ると、第3戦メルボルン以来の入賞となった。 「SCにも助けられた部分はありますが、プライムタイヤでもオプションタイヤでもコース上でしっかりオーバーテイクもできたので、ポジティブなレースができたと思います。ここまでなかなか結果につながらなかったなかでも、努力してきたことが、今日こうして結果につながったことは良かったなと思っています」 前戦シルバーストンのフィーチャーレースではタイヤ戦略でチームと食い違いがあった。 「なので、今回は僕も少し強めにチームに自分の希望を言っておきました。それに対して、チームも共感してくれたので、作戦においてはスムーズに採ることができました」 そう宮田は振り返るとともに、ここでポイントを獲得した価値を次のように語った。 「抜きにくいハンガロリンクでこういうレースができたことはとてもうれしいです。歯車が噛み合えば戦えるということをチームの理解してくれていたので、その期待に応えられて良かった」 もちろん、宮田自身にとっても自信に繋がる入賞だった。 「やっぱりレースするからには勝つためにサーキットに来ているので、後ろで走っているだけのレースというのは正直つらいです。それは僕だけでなく、僕を応援してくれているモリゾウさんやTOYOTA GAZOO Racingのスタッフも同じだと思います」 「その皆さんの期待に今日のように結果で応えられたことは、最高の結果ではないとしても、現在の僕の状況を考えれば、ポジティブなことです。これからも努力を続けて、いいレースをしたいと思っています」 苦しい戦いが続くなかで、宮田が努力してきたことが結果となって現れたブダペストのレースだった。 [オートスポーツweb 2024年07月24日]