"粉飾決算"に加担か、ベテラン会計士が虚偽関与の疑い
四季報オンライン
「市場の番人」――。日夜株式市場を監視し、相場操縦やインサイダー取引などの不公正な取引を調査する証券取引等監視委員会(監視委)は、畏怖を込めてそう呼ばれている。ひとたび不公正な取引を発見すれば、金融庁に対して課徴金の納付命令を勧告や、検察に刑事告発を行うこともある。投資家を守り、市場機能の健全化を促すという目的のため、その絶大な権力を適切に行使しているか、監視委はその真価を常に問われる立場でもある。そんな市場の番人が今回摘発に踏み切ったのは、どのような案件か。(本連載は不定期で掲載します)過去の売掛金過大計上をうやむやにしようと画策した上場企業から依頼を受け、有価証券報告書などの虚偽記載に利用されることを知りながら、買収先の株式価値を過大に算出した――。 証券取引等監視委員会は8月4日、こうした不適正行為が認められたとして、ディー・ディー・エス(元東証グロース、同日に上場廃止。以下「DDS」)と契約関係にあった愛知県に住む公認会計士の男(70代)に対し、課徴金150万円の納付命令を発出するよう金融庁に勧告した。 虚偽の開示をした上場企業側ではなく、虚偽に関与した疑いのある公認会計士を外部協力者として摘発するのは、2012年の金融商品取引法改正でルールが新設されて以降、初めてのことだ。 いったい何があったのか。なぜ監視委は、このタイミングで異例の勧告に踏み切ったのか。
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川辺 和将