indigo la End、追い風が続く4人の現在地 ライブの一年とフジロック、次回作の展望を語る
4月2日にメジャーデビューから10周年を迎えたindigo la End。昨年12月からスタートした過去最長の全国ツアー『藍衆』を終え、今年はフジロックやRISING SUN ROCK FESTIVAL、韓国のPentaport Rock Festivalなどのフェス出演も続々と決まり、さらには12月1日に横浜アリーナでのワンマンが決定と、どうやらライブイヤーの一年になりそうだ。その一方ではすでに『哀愁演劇』に続くアルバム制作にも取り掛かっているそうで、新曲「心変わり」はバンドの最新のモードを示す一曲になっている。春フェスでもツアーの流れを受けて素晴らしいパフォーマンスを披露し、「名前は片想い」はTikTokのチャートで再浮上するなど、追い風が続く4人にバンドの現状について聞いた。 【写真ギャラリー】indigo la End撮り下ろし写真 * ―過去最長となる全国ツアー『藍衆』が4月に終了しました。それぞれ振り返っていただけますか? 長田:26公演あったので、体力的には結構ヒーヒー言ってたんですけど、スピッツは45公演だと聞いて、「すいませんでした」って(笑)。でもこれまで行ったことないところに結構行けたので、すごく意味のあるツアーだったような気はしてます。最後の沖縄は7年ぶりで、ワンマンは初めてで、お客さんの表情もすごくよかったし、反応も新鮮で楽しかったですね。 後鳥:これまであんまり行ってないところだと盛り上がり方にも特徴があって、東北の方とか「この曲で手拍子出るんだ」とか、お決まりじゃない感じが結構あったので、またいろいろ行きたいなと思います。 栄太郎:超率直な感想で言うと、ツアーをやってるときは毎回「今日はこういう演奏をしよう」っていうのがあって、上手くいった部分とできなかった部分を踏まえて、また修正して次に臨んでっていうのを繰り返しやってたんですけど……今はもう春フェスが始まって、そうなるともうツアーのときに考えてたことが遠い思い出になっちゃうんですよね(取材は『JAPAN JAM』と『VIVA LA ROCK』への出演を終えた5月7日)。今はまた新たな課題があって、それを修正しての繰り返しなんですけど、そうやって常に成長し続けられるのであれば、それはそれでいいことなのかなと思います。 川谷:今回のツアーはもちろんコアなファンの人もいましたけど、「『名前は片想い』で知りました」みたいな人もいたと思うので、そういう人たちの反応は新鮮だったし、フェスでもそうですけど、「名前は片想い」をやるとお客さんの顔が明るくなるというか、「聴きたかったんだな」っていうのがすごくよくわかるんですよね。「夏夜のマジック」もそういう曲ではあったけど、よりマスに届いてる感じがしたツアーでした。 ―今年はフェス出演もたくさん決まっていて、12月には横浜アリーナでのワンマンもあって、ライブでしっかり曲を届けていこうというモードなのでしょうか? 川谷:特にそういうモードというわけではなく、今も並行してアルバムは作っていて。でも去年MONSTER baSH(香川開催のフェス)に出てから高松のチケットの売れ行きが一気に伸びて即完したんですよ。ああいうことがあると、やっぱりフェスって意味あるなと思ったりして。フェスに出ながらワンマンにもちゃんとお客さんを誘導するというか、「名前は片想い」しか知らなかった人たちにいろんな曲を知ってもらう機会になるので、フェスにも積極的に出ようと思って、今は誘ってもらったものにはわりと出てる感じです。 ーライブ自体に対する意識の変化もありますか? 長田:最近のライブは映像を使うことが多かったりしたので、ライブというよりショーみたいな感じが強かったんですけど、今回のツアーはあんまりそういう感じではなかったので、ラフな気持ちでやれて、そういう意味でもいいツアーだったなって。映像とかがあるとそっちも気にしちゃうので、お客さんを見る余裕があんまりなかったりするけど、今回は全体を見ながらライブができたので、そういう変化はあったかな。 ―東京公演・NHKホールのときに絵音くんがMCで「今さらながらバンドっぽくなってきた」みたいな話をしてましたけど、実際にそういう感覚もありましたか? 川谷:今回のツアーは昔の曲もたくさんやって、ツアー後半はお客さんの反応を見ながら、毎回セットリストを変えてたので、かなり生もの感がありましたね。「パロディ」から「心の実」とか、気に入ってる流れはそのままだったんですけど、そういう部分以外はかなり流動的に変えて、でも短いタームでいろいろ変えられるのはバンドの強みというか、フェスでも毎回曲を変えたりできるので、そういうのは楽しいですね。 ―ツアーの演出で言うと、最初にドアから一人ずつ出てきて、花瓶から花をとって、最後にそれを戻して、またドアから出ていくという流れがあって、あれは何かコンセプトとか設定があるんですか? 川谷:最初に演出案がいろいろあって、そこからブラッシュアップしてああなったんですけど、僕が「ドアから入りたい」みたいなことを言って、演出の人が「花を使いたい」と言って、それを混ぜたらああなった感じです。インディゴの世界観に花は合うし、「プルシュカ」に“花が降ってきた”っていう歌詞があって、パシフィコ横浜(2023年2月)で初めて披露したときに蒼い花を降らせたこともあったから、すごくいい一連の流れになったなって。ライブが終わった後にお客さんが花の写真を撮ってたり、ああいうのも思い出としていいし、ちゃんと始まりと終わりがあるのもいいというか。 もうオープニングの音楽が鳴ると体が勝手に動いちゃうんですよ。Yorkeっていうオーストラリアのアーティストの「like in the movies」って曲なんですけど、26公演ずっと流してたら、ファンの人がYorkeのYouTubeに「インディゴから来ました」みたいなコメントを書いてて、それを観たYorke本人から「曲を流してくれてありがとう。いつかコラボしましょう」みたいなDMが来て。ずっと流し続けるとこういうこともあるんだなって。 ―ちなみに、VIVA LA ROCKのときのSEはオスカー・ジェロームの「Easier」でしたよね。 川谷:でも、あれは一回の命でした。次はもう変わっちゃいます(笑)。 ―ちなみに、JAPAN JAMのときは? 川谷:いつもかけてるディスクロージャー(「F For You」)。 後鳥:俺たちの「サライ」です(笑)。 川谷:SEはメンツを見て俺が決めてるんですけど、邦ロック系のときはディスクロージャーにしてるんです。でもVIVA LA RCOKは星野源さんとかペトロールズがいて、ちょっと雰囲気違うかなと思って、オスカー・ジェロームでもいいかなって。 ーインディゴの後に出た星野源さんはトム・ミッシュとコラボした「AIn’t Nobody Know」をやってたし、サウスロンドン繋がりになってましたよね(笑)。