ラグビーの次の番狂わせは女子バスケの番?
「コート内で選手が自分たちで考え、判断、対応する場面がありました。その中心が吉田選手でした」 予選リーグの中国戦では、残り18秒で、吉田がインサイドへ切れ込んでシュートを決めた場面があったが、これは内海ヘッドコーチの指示とは別に瞬時にコート内で選手が判断したプレー。日本は、「モーションオフェンス」と呼ばれる、決まり事だけで動く「セットオフェンス」ではなく、スペースをみつけながら、人とボールを連動させるオフェンスのスタイルに取り組んでいるが、それも選手のコート内の判断力が高くなければ機能しない。 また原田さんは、堅固で粘り強いディフェンスがベースにあったことを評価している。 「粘り強いプレッシャーのかかったマンツーマンディフェンスがしっかりと機能していました。中国戦ではインサイド、韓国戦ではアウトサイドとプレッシャーのかけかた、絞り方をチームによって変えながらディフェンスが崩れませんでした。ボールへの寄りのスピードに、カバーリング、(ローテーション)連携と、ボールへの執着心が素晴らしかった。トランジション(攻守の切り替え)がうまくいき、攻撃にスピードが生まれファーストブレイクが多く出たのも、すべては守りからなんです」 中国に比べて高さに劣る日本にとって、リバウンドを取れるかどうかが課題だったが、今回はそこで渡嘉敷と間宮が大きな役割を果たして日本のウイークポイントを消した。特にWNBAで活躍中の渡嘉敷の成長がチームにもたらした効果は計り知れない。 「渡嘉敷選手は、WNBAでの試合の関係でチーム合流が遅れて数試合はコンビネーションなどのタイミングが合っていませんでしたが、うまく溶け込み自分のやるべきプレーに集中し大きな効果をもたらしました。彼女自身、アメリカでプレーしていることでレベルアップして幅が広がりました。 具体的には、当たりに強くなり、日本では少なかった外回りのシュートやドライブなどにトライしたことでバリエーションが広がりました。これまでは、故障で実力を発揮できないケースがありましたが、今回はそこには問題がありませんでした。アメリカで試合に出ている渡嘉敷選手の活躍は、他の選手に世界を身近に感じさせ、“やれるぞ”というチームモチベーションを高めた と思います」 内海知秀ヘッドコーチの元、ジャパンが突き詰めたプレースタイルの結実ともいえる。