ウォラーＦＲＢ理事、「慎重な」ペースで利下げに対応するべきだ
（ブルームバーグ）： ウォラー米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）理事は、最近の経済データが示しているのは、先月の連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）ほどの緊急性を伴わずに追加利下げに対応できるということだと述べた。
ウォラー理事は14日、カリフォルニア州スタンフォードのフーバー研究所で講演。「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対しては９月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。
ウォラー理事は、現在の経済状況が続けば、「政策を中立の姿勢に向けて慎重なペースで進めていくことは可能だ」と話した。中立金利とは、経済成長を促進も阻害もしない金利。
同理事は、堅調な雇用者数の伸びと失業率低下、過去数カ月の雇用者数増加幅の上方修正が示された９月の雇用統計に言及した。一方、予想を上回った９月の米消費者物価指数（ＣＰＩ）は「期待外れだった」と語った。
雇用は米金融当局の目標付近にあり、インフレ率も２％の目標に近づいていることから、経済はしっかりとした基盤にあるとの認識を示した。一方、国内総生産（ＧＤＰ）上方修正や求人件数増加など、最近のデータは経済が期待ほど減速していない可能性を示唆していると指摘した。
連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）の次回会合は11月６、７両日に開かれる。ウォラー理事は公演後の質疑応答で、「漸進的な」な利下げペースが具体的にどのようなものになりそうかには言及を避けた。
事前原稿で同理事は、それまでに発表されるデータが「金融政策緩和に対してより慎重になるという私の姿勢を裏付けるものか、あるいは弱めるものか」を注視していくと述べた。11月１日に発表される10月の雇用統計については、最近相次いだハリケーンやボーイングのストライキの影響が雇用者数を10万人余り押し下げる可能性があると述べた。
一方、自身の基本シナリオは今後１年間にわたる漸進的な利下げだと説明。９月に発表された金融当局者の四半期経済予測に言及した。予想中央値では、2025年末までにさらに計1.5ポイントの利下げが見込まれている。
