日本企業のオフィスは「衝撃的だった」…世界3位の経済大国・ドイツ人が日本出張で見た"非効率な光景"
日本は2023年、名目GDPでドイツに抜かれ、世界4位に転落した。ドイツ人と日本人の働き方はどこが違うのか。ドイツ在住歴17年の西村栄基さんの書籍『ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密』(すばる舎)より、「ドイツ人の職場環境へのこだわり」の解説をお届けする――。 【この記事の画像を見る】 ■感銘を受けたドイツ人の「職場環境へのこだわり」 ドイツに赴任して、最初にオフィスに入ったときに驚かされたのは、開放感あふれる広々とした自席スペースです。2つのデスクが組み合わさっており、大きな空間が確保されています。 そしてフロアは仕切りで区切らず、隣席との間隔を2メートル以上空けることでプライバシーを確保していました。 3メートル近い高さの天井と窓の外に見える美しい自然が相まって、最高の環境といえました。 また、オフィス内には観葉植物がふんだんに置かれ、ここにもドイツ人の職場の環境に対するこだわりが感じられました。 ■思考のスケールは作業スペースの広さに比例する 同僚のステファンは言っていました。 「この環境があるからこそ、良いパフォーマンスを発揮できるんだよね」 「こんな広いスペースで働くなんて、最初は戸惑ったよ」 と私が返すと、ステファンは笑いながら答えました。 「日本出張で見た狭いスペースは、衝撃的だったなあ! でも、ドイツではこれが標準だし、この空間があるからこそ集中できるし、効率が上がるんだよね。自分のスペースが広いと、考える余裕も生まれるからね」 「思考のスケールは作業スペースの広さに比例する」と多くのノート術の書籍が説いていますが、ドイツのオフィスほどそれを実感させられる場所はありませんでした。 創造性が刺激され、高い集中力が維持できるのが自分でもわかりました。
■午前中は集中して仕事をこなす時間 このドイツ流のワークスペースは、日本の職場にも応用できる要素がたくさんあります。 空間に限りがあるとしても、個人スペースの確保や、観葉植物の配置は、働く人々の心理的な満足感を高め、ストレスを軽減します。 自席に着くと、朝の「カフェ」タイムとは打って変わって笑い声は止み、従業員たちは一斉に集中タイムに入ります。 その場にいる全員がいわゆる「ゾーン」に入っており、静けさが広がります。 「午前中は、集中して各自の仕事をこなす時間だから、社内ミーティングは設定していないんだ」と、ドイツ人の同僚ジーモンが話してくれました。 ■時間帯で業務を分散している 「午後に設定されているミーティングでは、朝の集中タイムで得たアイデアや成果を基に、課題に対する議論をするんだ。これが、効率的な仕事の流れを生むんだよ」とも。 電話が鳴り、雑談やミーティングが断続的に行われているオフィスでは、集中力の維持は困難です。 ドイツ人は、脳のリソースの限界を認識し、時間帯によって効果的に業務を分散しているのです。