星野監督はなぜ辞任を決意したのか
楽天の星野仙一監督(67)が18日、仙台市内にある球団事務所で三木谷浩史オーナー(51)同席のもと、記者会見を行い、今季限りで辞任することを明らかにした。ユニホーム姿で会見場に現れた星野監督は、辞任の理由について、「直接の原因は成績(最下位)。2か月間も戦場から離れ選手やファンの方々に大変迷惑を掛けた。オーナー、社長からは『何年でもいいから』と諭されたが、勝負師としてシーズンを(途中で)離れることはあってはならない、と決意した」と説明した。 星野監督は、難病の「胸椎の黄色じん帯骨化症」「ヘルニア」などの併発で、激痛で歩けない状態となり、手術治療を施すため5月26日から休養に入った。その間、佐藤ピッチングコーチが代行監督を務めたが、結果につながらず、大久保2軍監督が代行の代行を務めるという異常事態。星野監督は、7月25日の試合から現場復帰したが、チーム状態は上がらず、最下位に低迷した。一人で24勝を稼いだ田中将大投手がヤンキースに移籍するという戦力ダウンをカバーすることができず、昨季の日本一から一気に転落してしまったが、星野監督は、それらの責任を重く感じ、「敗者の責任は指揮官が負うべき」という自らが持ち続けていた監督ポリシーに沿って辞任を決意。9月に入って三木谷オーナーに辞任の意思を伝えていた。 三木谷オーナーは、強く慰留を続け、星野監督も、秋季キャンプで若手を鍛えあげチーム再建することも責任の取り方のひとつと考えたこともあった。だが、結局、辞任の方向は揺るがず、ついに三木谷オーナーも辞任を受け入れ、この日の退任会見となった。手術した腰の状況も不安定だが、あくまでも、体調不良が理由ではなく、最下位チームの指揮官の責任として、ユニホームを脱いだ。 三木谷オーナーは、「今後は、より高い所(職務)から球団に関わっていただきたい」という球団の考えを星野監督に伝えており、球団に残りGM的なフロントのポジションから、チームの編成作業にかかわっていく予定だ。星野監督は、試合前のミーティングで選手にも今季限りで退任することになったことを伝えた。「これからも、うるさい爺がおまえらのことを見ているから覚悟しておけ!」と星野監督らしい言葉で惜別のメッセージを伝えた。 ファンが気になるのは後任人事。三木谷オーナーは「星野監督の続投の考えだったので、次のことは何も考えていなかった」と現段階で白紙であることを強調した。代行監督を務めた大久保2軍監督の内部昇格案も有力のようだが、時間がないため急ピッチで後任監督の人選に入っていく方向。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)