Skateboarding Unveiled vol.11 ~シーズンイン~
日本のスケーターを育てているコンテスト
皆さんは春といったら何を思い浮かべるだろうか? 卒業式や入学式といったイベントにともない、出会いや別れを連想する人が多いかもしれないが、一方ではスポーツシーズンの幕開けを告げる季節でもある。 スケートボードにおいても同じで、この時期になると決まってサーキット形式のコンテストが開幕する。 今はWORLD SKATE JAPANやJSF(Japan Skateboarding Federation)、JSL(Japan Street League)にFlake Cupなど数は増えたが、最も歴史があり、多くのスケーターに門戸が開かれていて、身近な存在であるという点でAJSA(日本スケートボード協会)は外せないだろう。 なぜなら、日本で明確なピラミッド型のコンテストシステムを確立している唯一の組織だからだ。 まず多くの方が最初に出場するのが全国各地のアマチュアサーキット。3戦行われる東北、関東、中部、関西、九州の5地区を勝ち抜いたランキング上位10名と、北海道、北陸、中四国、沖縄選手権の上位5名に全日本アマチュア選手権の出場権が与えられ、そこで上位8名に入ると晴れてプロライセンス獲得となる。
ただここのハードルがかなり高い。特に東京オリンピック以降はエントリー数の増加が顕著で、関東では100名オーバーが当たり前になりつつある中で、地区予選を勝ち抜き、全国の猛者たちと8枠の座を争うのだから想像に難くない。 それにプロライセンスを得たからといっても、当然そこがゴールではない。今度は国内No.1の座をかけた年間3~4戦行われるプロ戦が待っているし、そこで上位に入ることで、世界が現実として捉えられるようになるといって差し支えないだろう。 他は基本的に映像審査や実績などを通じて出場選手を決める「招待制」をとっていたり、一方で地区大会はあっても各地域に実行委員会が存在しておらず、本部が各地に赴いて運営しているのが現状だ。だからこそ年間20戦以上行われているAJSAは、最も「日本のスケーターを育てている」存在であり、世界的スケーターへの登竜門になっていると言えるだろう。 それはたった5~6年前の写真を振り返るだけで、強く実感していただけると思う。