DeNAの98年世代が生み出す相乗効果 牧秀悟を筆頭に12人の大所帯に
【球界ここだけの話】その数は育成選手を含め12人に達した。DeNAの1998年世代のことだ。プロ野球界全体を見渡しても、一つのチームに同い年の選手がこれほど集まるのは珍しい。この世代の先頭を走る牧秀悟内野手(26)は「こんなに増えることってあるんですね」と驚きを隠せない。 【写真】母の散髪でビシッと決めたDeNA・牧 正捕手に成長した山本、先発と中継ぎで潜在能力を示した中川颯、2021年にドラフト1位で入団した入江らメンバーは多士済々。このオフに阪神を戦力外となった岩田が加わり、現役ドラフトで同じく阪神から浜地が加入した。さらに、ソフトバンクからトレードで入った三森も同世代。一気に大所帯となった。 牧が三森を強く認識したのは、長野・松本第一高2年時の15年に見学した神宮大会だった。青森山田高の「4番・遊撃」を担った三森は、愛知・東邦高との準々決勝で一回に右翼フェンス直撃の先制二塁打を放った。当時は全国的に無名だった牧は、スタンドで強烈な打球を目の当たりにし「バケモンやな」と感じたという。 ポストシーズンでDeNAのブルペンを支えた堀岡は、青森山田高で三森と同級生。高校ではエースを担い、三森とともに15年の神宮大会の4強進出に貢献した。俊足好打で二塁を本職とする万能型の内野手について「すごい真面目で考えて野球をやっている。そういうところは高校の頃から尊敬していた」と明かした。 牧は「相談できるメンバーが増えるのはすごくいい」と同世代の加入を歓迎する。今季は2年目で1軍デビューを果たした同い年の吉野に打者目線で助言を送ったことがあった。アマチュア時代に比べてストライクゾーンの狭さを感じたという右腕に対し、内外角の出し入れで打者の視点やタイミングをずらせると伝え、プロ初勝利を含む3勝を後押しした。 吉野が「野手としての経験がない。すごく参考になった」と感謝したように、投手と野手の垣根をなくしたコミュニケーションはプラスに働く場合がある。このオフには今季チームに在籍した98年世代のメンバーでゴルフに興じ、仲を深めた。グラウンドで発揮する実力はもちろん、プライベートでの気の置けない間柄もこの世代の魅力だ。 伝統球団の阪神、球界随一の選手層を誇るソフトバンクでもまれた面々が加わり、どのような相乗効果が生まれるだろう。牧は「98年世代で引っ張っていけるように。みんなで高め合っていきたい」と切磋琢磨(せっさたくま)を誓った。(鈴木智紘)