23年で1万1122打席 楽しんだことは一度もない 野村さんと口論「アホか。お前」 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<26>
「アホか。お前。今日、4安打打っとるやないか。何本打てば気がすむんや、アホ」と言うから「ほっといてください。次、打てるか打てないか、わからないじゃないですか!」って言い返しました。それほど打席に入るときは必死だったんです。
時代が違うといえば、そうかもしれませんが、とにかく神経質になっていた。打てなくて、負けたときは帰りの車の中で「女房、子供のために何とかしなきゃ」って余計なことを考える。考えるから眠れない。眠れないからバットを振る。ちょっと寝て、また起きてバットを振る。23年間、そんな生活でした。
《イチローは日米通算4000安打を達成した試合後の会見で「4000本のヒットを打つには、僕の数字で言うと8000回以上は悔しい思いをしてきている。それと常に向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかと思っています」と話した…》
イチローもいい意味での神経質なところがありますよね。成功した人に大ざっぱな人はいませんよ。豪快な人もいません。川上哲治さんにしても落合博満にしても、みんな繊細で神経質な面を持っていました。王貞治にしてもそうだったし、長嶋茂雄さんもああ見えてすごく繊細な方です。神経質でとても心配性でね。そうじゃないと成功しませんよ。もちろんいいときは、もっと上に行きたいという気持ちになる。スポーツ選手はそうじゃないとだめだと思います。(聞き手 清水満)
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