旧優生保護法下の不妊手術強制は“違憲”「画期的な最高裁大法廷判決」
私が経験したものとしては、1票の格差が最大6.59倍に達した1992年7月の参院選をめぐって、有権者が選挙管理委員会に選挙無効(やり直し)を求めた定数訴訟で、最高裁大法廷は格差について「到底看過できない程度に達し、著しい不平等状態だった」と違憲状態だったことを初めて認めましたが、選挙そのものについては国会の裁量権を広く認めて合憲とし、有権者側の上告を棄却、つまり訴えを退けました。 1票の格差が6倍を超えるなんて、どう考えても憲法違反だろう、と普通は思いますが、そうはならなかったわけです。そして合憲判断が裁判官、検察官出身の8人、残る7人が違憲判断という一票差。これが絶妙なバランスなんです。まさにこれが、私が先ほど指摘したポイントで、8対7という判断はこれまでも少なくありませんでした。 ■今後の司法判断に大きな影響 ところが、今回の画期的違憲、憲法違反の判断は15人全員の意見だったので、私は「なるほど」と思ったわけです。最高裁が変わった、などと言うつもりはありませんが、今後の司法判断に大きな影響を与えたことは間違いありません。歴史的な判決、といえるかもしれません。 毎日新聞社はキャンペーン報道「旧優生保護法を問う」で、この問題を掘り下げ、2018年度の新聞協会賞を受賞しました。その内容は、毎日新聞出版から出した「強制不妊 旧優生保護法を問う」に詳しく、電子書籍でも読むことができます。 ただ、これを誇る以上に、1948年から96年までの長い間、旧優生保護法が存在し、日本のジャーナリズムや多くの人がこの問題に気づくことができなかったことは、反省しなければなりません。批判するだけでなく、私自身も厳しく問われていることを認識し、これからコメンテーターとしての出演や本業である出版に生かしていきたいと思います。
RKB毎日放送