熊本県知事、熊本都市圏の渋滞解消策を年末にも発表…TSMC第3工場誘致「数年かけて狙っていく」
熊本県の木村敬知事は、読売新聞の年末インタビューに応じた。年末に熊本都市圏の渋滞解消策を発表する方針を示し、浅尾環境相に水俣病の患者・被害者団体と懇談を開催するように求める考えを明らかにした。(聞き手・古野誠、小波津晴香) 【写真】国道57号からTSMCの工場がある方向へ向かう町道で通勤時間帯に起きた渋滞
――4月16日の就任から8か月が経過した。手応えと来年に向けた抱負を。 「(各施策は)県民の意見を聞き、やり方や軌道修正をしていく。知事になって声をかけられる機会が多くなった。うれしい発見で手応えを感じている。行政の基本は教育と福祉。来年のみならず、『人づくり』を軸にした県政をより進めていく」
――台湾積体電路製造(TSMC)の第3工場誘致に前向きな発言をした。条件として、県は第1工場の円滑な稼働を挙げている。 「第1工場が予定通りのスケジュールで建設され、稼働することはTSMC側も評価するだろう。幹部からは、(熊本より)早く造り始めた米アリゾナ州で(稼働が)できていないことと比べ、国や県のサポートに感謝された」
「第3工場は、まだ雲をつかむような話。数年かけて狙っていくものだ。第1、第2工場が順調に進むのを見届けながら、渋滞対策や地下水保全などで地元の理解をTSMC側が得て、県が対策を講じていると思われるように努力していく」
――進出効果が県南地域で弱いとの指摘もある。八代市に県営工業団地を整備する方針を発表したが、「南北格差」の是正に向けた考えは。 「地域の良さを引き出すために企業誘致はあるべきだ。八代は県内第2の都市で団地が出来れば絶対に企業は来る。一番、狙いたいのは食品関係だ。県南の豊かな農林畜水産物を生かしたものができたらいい。人吉温泉の観光、台湾からのインバウンド増加など地域の特色を生かし、地元と連携して狙いを定めていく」
――水俣病問題を巡り、環境省職員による5月のマイク切り問題が起き、県も独自で懇談を開催した。 「マイク切り問題の時に、パッと機転を利かせて行動できず、本当に反省すべきところだ。歴代知事の中で一番というぐらい(団体側と)会っている。(10月就任の)浅尾環境相には、水俣に来て皆さんの話を聞く場を設けてほしいし、実現させないといけない」
――熊本都市圏の渋滞解消で、インフラ整備も含めた対応は。 「年内に、短期、中期、長期の方向性をまとめる。車の利用者1割減、公共交通の利用者倍増という目標は、周辺市町村とほぼ合意している。その目標に沿ってやっていく。『10分20分構想』といわれる3連絡道路は年末までに決着できないが、地域住民と意見交換していく」