転売ヤーがディズニーランドの「使用済みのチケット」を1000円で買い取る驚愕の理由
ディズニー転売で出る利益
食事の後も、彼女らはスタンバイ制のショップ2軒をそれぞれ5回転し、パス無しで入れるショップでもいくつかのグッズを購入し、駐車場とパークをさらに3往復した。 業務終了となったのは、午後7時過ぎ。ワゴン車が、商材で満載となった。 この日の買い付け額は、劉姐グループが250万円、小静と梓梓はともに100万円ほどになったという。 一方で、彼女らが最後まで言葉を濁したのが、転売による収益率だ。買い付け仲間とはいえ、同業者がいる前では互いに言いにくかったのかもしれない。 ただ、筆者が確認した限り、小紅書(シャオホンスゥ・中国のSNS)でTDRグッズを専門に転売しているアカウントには、定価2600円で売られているぬいぐるみやバッジが、送料別で約4000円で出品されていた。パークチケットの代金や交通費、販売手数料などの必要経費もあるが、それにしても販売額の20~30%ほどは最終利益として残るのではないだろうか。 全ての荷物を積み終えると彼女たちの車は、筆者を置いて走り出した。1席を空けなければ、買い付けたグッズが積みきれなかったため、電車で帰ると言って辞退したのである。 最寄りの舞浜駅までの道のりは、靴ずれができた右足を引き摺りながら歩いた。この日、ゆるめのスリッポンで来たことが間違いだった。5人はみなしっかりとしたウォーキングシューズを履いていた。 スマホの万歩計アプリを見ると、この日歩いた距離は14キロを超えていた。しかも彼女らは、この距離のうちの半分近くを、1つ15キロほどのビニールバッグを肩に吊るして歩いたのだ。 ディズニー転売ヤーは体力勝負だった。 後日、この取材によって浮かび上がった運営側の転売防止のスキマについて、筆者は東京ディズニーシーを運営するオリエンタルランドに指摘し、対策について質問をした。 すると2024年6月、同社から書面で回答があった。 まず、転売ヤーが、購入個数制限を突破することを目的に、ひとりあたり複数枚のチケットを使用済みにしていることについて、 「パークエントランスの入園ゲートでは、一度に入園する人数分以上のチケットをかざすことはご遠慮いただいております」とのことだった。 取材時点では「同一商品はひとり3点まで」とされていた購入個数制限についても、 「2024年以降は、特定の新商品発売時に、パーク全体で該当商品を1回しか購入できないよう新たな制限を設け、より多くのゲストにお買い物をお楽しみいただけるようにしております」とし、厳格化されたことが記されていた。さらに、「店内で長時間商品を確保して滞留されている方や、明らかにお一人が購入制限以上の商品を確保されている場合には、それらの行為をやめていただくよう店舗のキャストから直接お声がけをしております」とのことだった。