横浜DeNA開幕勝利投手、今永の親指に残った復活印とは?
ラミレス監督も今永を信頼した。 「7回で十分だと思ったが、まだ149キロが出ていた。もう1イニングいける」 0-0で迎えた7回一死から今永に代打を送らなかった。 今永がインサイドの難しいボールをレフト前に落とす。それがゲームの均衡を破るきっかけになるのだからラミレス監督の名采配だったのかもしれない。「インパクトがある」と1番に抜擢された梶谷が四球を選び、オープン戦首位打者の絶好調、楠本がライト前ヒットで続く。ここで中日は、2番手の又吉から谷元にスイッチ。ソトが倒れ二死満塁でエースの鬼気迫る力投に応えたのが、4番の筒香である。 「緊張する開幕戦で今永が頑張って投げてくれていましたから」 ボールゾーンに落ちる変化球。配球もコースも何も悪くなかった。だが、筒香はフルスイングを捨て、腰を落としながら、ただただボールに食らいついた。打球はセンターへ。 「打席の中では反応だけ。なんとか点が取れてよかった」 グリップの位置を下げ、重心を落とし、ほとんどステップを使わないメジャー対応型の新打法にキャンプから取り組んだ。開幕の時点で、若干ステップを使う形に微修正されているが、その新打法が開幕戦の先制2点タイムリーにつながったのである。 与田監督をして「難しいボールをうまく打たれた。さすが筒香。それを上回るピッチングをしないと勝てない」と言わしめた一打。だが、試合後、筒香は「いろんな方々に助けられて開幕を迎えられたことに感謝したい」と、チームリーダーとして泣ける言葉を贈った。 続く8回には、新設された約3500席のウィングスタンドへ向かって舞い上がった与田中日へとどめをさす1号3ラン。 「みんなが打席の中で死ぬ気でつないでくれた。ホームランだけを狙ってやってるわけじゃない」 今永が復活して4番が決める。これ以上ない理想の開幕ゲームだろう。横浜DeNAは、昨年オフに大きな補強は行わなかったが、昨年4勝の今永と、同じく4勝の濱口の両左腕が復活すれば、それが最大の補強になると評価している専門家も少なくない。