横浜DeNA開幕勝利投手、今永の親指に残った復活印とは?
復活の印が親指に残っていた。 試合後、今永は、左手親指の第一関節あたりの赤くなった傷を見せて、こう説明した。 「ストレートでボールをはじくようにリリースができているときは、自分の人指し指が、親指のここにあたって赤くなったり切れたりするんです」 しばらくできることもなかった傷こそが復活バロメーターである。 「イメージしていた以上のピッチング。一番は、ピンチで真っすぐで空振りを取れたこと。自分を楽にしてくれた」 7回一死二塁のピンチに阿部をインコーズにズバっと148キロ。続く加藤には、外の変化球でバットに空を切らせた。立ち上がりには151キロをマーク。とにかくストレートに力があった。 捕手の伊藤光との息もピッタリだった。 伊藤のミットの位置や、ジェスチャーの意図を「ここはきっちり」「ここはアバウト」と理解しながらピッチングに生かす 「雰囲気をつかみながら大胆にカーブも使えたし、チェンジアップを早いカウントで投げるようなこともできた。甘い球もあったが、打ち損じになったのは、(打者の狙いの)雰囲気を感じ取って腕を振れたからだと思う」 データ以外の打者の狙いを読む感性が伊藤のジェスチャーとリンクした。いわゆる強弱をつけながらドラ打線を手玉に取ったのである。 8回で120球、5安打、11奪三振、無失点。立派に初経験の開幕投手を全うした。 昨年は4勝11敗のスランプに陥った。 「投げるたびに打たれたのにラミレス監督は使ってくれた」 その恩に応えなければならなかった。 木塚、三浦の両投手コーチが今永の再生に手を貸した。12月には豪州リーグに参加している。 「今日までやってきたことが勝利につながったと思う」 開幕投手を伝えられると、そこからの練習スタイルも変えた。 「気持ちが高ぶって無理をしないことを心掛けた。ダッシュひとつにしても少し抑えるんです。感情に任せすぎないように」 オーバーワークが故障につながればチームに迷惑がかかる。 前夜はぐっすり眠れた。球場入りしても緊張はなかったが、5時40分からセカンドアップをはじめると心拍数は高いが、汗が出ないという異常な状態に陥った。。 「緊張していたと思うんです。ちょっと多めに動いたりしました」 肉体は正直だった。 「正直、不安の割合の方が大きかった」 先頭打者の平田をフルカウントからセカンドゴロ。2019年度、最初のアウトをとった時点で「やっと緊張が解けた」という。