退職後「不幸になる人」と「幸せになる人」の決定的な差、ハーバード大の研究で判明
最大の失敗は、退職後の家計プランは緻密に練っていても、日々の具体的な行動プランを立てていなかったことでしょう。お金を貯めることばかりに気をとられ、「空いた時間をどう使って、何をやるのか」については全く決めないまま、退職の日を迎えてしまいました。 退職前、ローレンスは「引退したらボランティア仕事でもやろうか」「地元の大学で講師として教えてみようか」などと漠然と考えていたそうですが、いざ、会社を辞めてみると、そうした新しい活動に向けて、一歩を踏み出しませんでした。その結果、「孫の世話」が人生の全てとなってしまいました。そしてその孫に会えなくなると、一気にやることがなくなり、お酒で気を紛らわせるようになったのです。 ところが、この話には続きがあります。アルコール依存症になっておよそ2年後、ローレンスは息子たちから「お酒をやめないなら、今度こそ家族の縁を切る。二度と孫にも会わせない」と最後通牒を突き付けられました。 それがローレンスにとっては、人生を変える重要なターニングポイントとなりました。妻とともに3カ月間、リハビリ施設に入り、ようやく依存症から抜け出すことができたのです。またこの期間は、自分の人生についても悔い改める機会ともなりました。 数週間前、ローレンスから連絡がありましたが、施設を出てから6年たった今も禁酒を続けているそうです。また、「新しい友人も増えて、金婚式もたくさんの人々に祝ってもらった。息子も再婚して、新たな孫もできて、息子家族と毎日、楽しく過ごしている」とうれしそうに報告してくれました。 佐藤 日本企業の退職者にとっても、「セカンドライフをどこで過ごすか」は大きな関心事です。ローレンスの場合、息子家族がいるからといって、見知らぬ土地に引っ越したのが、失敗の始まりだと思いますか。慣れ親しんだ町にそのまま住んでいたら、重度のアルコール依存症に陥ることもなかったでしょうか。