退職後「不幸になる人」と「幸せになる人」の決定的な差、ハーバード大の研究で判明
● 幸せなセカンドライフを手に入れるには 「4つの手順」が重要 佐藤 最新刊『Retiring: Creating a Life That Works for You』(「リタイアリング:あなたにぴったりのセカンドライフを創る」)を執筆するにあたっては、10年間にわたってミレニアル世代からシニア世代まで120人の米国人を調査したそうですね。その中で最も驚いた調査結果は何ですか。 アマービレ 私にとっての大きな発見は、「リタイアリング」(退職する)というのは、時間も労力もかかるプロセスだということです。私たちは、経済的に安定していて、健康的な人を調査対象として選びましたが、それでも、幸せなセカンドライフは、そう簡単には手に入らないことが分かりました。 佐藤 「時間も労力もかかる」とは具体的にはどういう意味でしょうか。 アマービレ 私たちの調査では、幸せなセカンドライフにたどりつくためには、次の4つのタスクを全て実行する必要があることが分かりました。 (1)いつ退職するかを決める 米国企業には「定年」がありませんから、いつ、何歳で、退職するかは、自分で決めなくてはなりません。 (2)仕事から自分を切り離す 「切り離す」とは自分の仕事を次の人に引き継いだり、職場の私物を整理したりすることに加えて、心理的にも会社や仕事から距離を置くことを意味しています。 (3)自分に合ったリタイア生活を構築する この期間は、フルタイムの仕事を辞めた後、空いた時間を使って「どこで、何をするか」「どんな人と付き合うか」、いろいろと試してみる期間です。 (4)リタイア生活を安定化する (3)で試した活動のうち、最も自分に合っている活動をルーティン化していきます。 つまり、退職してから完全な引退生活に至るまでには、ある程度の時間が必要で、なおかつ、そのリタイア生活を満足できるものにするためには、それなりの努力が不可欠だということです。