PR会社社長の自爆投稿は“斎藤知事の手落ち”?“キラキラ広報”が承認欲求を暴走させた本当の理由
なぜこんなにも日本ではこの仕事は軽んじられているのか、なぜ自分が苦労して成し遂げた実績をが正当に評価をされないのか、というモヤモヤを抱えている人がたくさんいる。 そして、そのような人の中で時々、そのフラストレーションが「爆発」をしてしまう人を目にすることがある。「アレは実は私がやったんだ」「あの戦略PRを仕掛けたのは私」と匂わせるうようなSNS投稿をする。独立している人は、兵庫のPR会社社長のように、会社のホームページやブログでストレートに「武勇伝」として披露するようになるのだ。 もうお分かりだろう。世間的には「キラキラ広報の承認欲求が暴走した」と思われている現象も、実は自分が成し遂げたことが、なかなか評価されない広報・PRの不満が爆発したものかもしれないのだ。 ● “キラキラ広報”の承認欲求を 暴走させた「斎藤知事の手落ち」 筆者がそう感じるのは、兵庫のPR会社社長が書いた記事に漂う「猛烈な違和感」だ。 PR会社にお勤めの方にとっては常識だが、この世界で仕事をする人は「クライアント・ファースト」が徹底される。つまり、自分たちのやったPR・広報が、クライアントの課題をどう解決したのか、そしてどう評価されたのか、という視点がすべての価値なのだ。 しかし、件のPR会社社長の「兵庫県知事選挙における戦略的広報」という記事には、斎藤氏の反応や感謝のコメントがまったくない。「このSNS戦略のおかげでフォロワーが増した、と斎藤さんも非常に喜んでいました」とか「あなたに広報全般をお任せして本当によかった、という嬉しい言葉を斎藤さんからいただきました」とかPR会社ならばあってしかるべし、いや、なくてはおかしい「クライアントの目線」がごそっと欠落している。これはPRの事例紹介として、かなり「異常」だ。 厳しいことを言ってしまうと、「クライアントの満足度や反応などどうでもよくて、とにかく自分の実績を世間から認めてもらいたい」という、PR会社の人間にあまり見られない「自分ファースト」がやたらと強い印象なのだ。