ドゥカティ新型「ムルティストラーダV4 S」初試乗!! 万能ツアラーが足つき向上デバイス投入でさらに快適に!
生粋のスポーツバイクに匹敵するパフォーマンス
第一印象として、外観はあまり変わらないように見えますが、実はヘッドライトが新設計となり、ホイールやサイレンサーも軽快感のあるデザインに洗練されてします。
さっそく跨ってみると、シート位置が低いことに気づきます。新型には自動車高低下機能(オートマチック・ロワリング・デバイス)が搭載されていて、速度が10km/h以下になるとリアサスペンションのプリロードが調整されて、シート高が約30mm下がる仕組みです。 自分の足がしっかり地面に届くという安心感が、新型の最大のトピックかもしれません。大きく、重く、背の高いアドベンチャーバイクと向き合うには、この機能が最も実用的と言えるでしょう。 ライディングモードを切り替えたときのキャラクターの激変ぶりも、新型の特徴です。市街地では「アーバン」モードで穏やかに流します。速度レンジ的にも前方バンク2気筒だけになり、排気音も静かに。「ゾーン30」が徹底されている欧州の生活道路では、その意義がよく分かります。
いざワインディングへ。モードを「スポーツ」に変更すると、アクセル反応が鋭くなりエンジンパワーが増大。電子制御サスペンションによってリア車高が上がり、減衰力も強化されてスポーツ走行に適した仕様へと自動的にセットアップされます。 クラス最強レベルのV4エンジンの加速は強烈そのものですが、鼓動もキメ細かく、パワーの出方もスムーズ。低回転からトルクが安定していて、タイトな上りコーナーでもギアを落とさず登っていけます。 ハンドリングも軽快かつフロント19インチホイール特有の安定感があり、狙ったラインを正確に描ける気持ち良さはドゥカティならではと言えます。 「ムルティストラーダ」はアドベンチャーと言うよりも、生粋のスポーツバイクに乗っている感覚に近く、同クラスのライバルの多くが2気筒や3気筒であるのに対し、V型4気筒を採用していることが大きいかもしれません。「パニガーレ」やMotoGPマシンにも繋がる血統を感じさせるところです。