「ザ・国鉄」思わぬ共演!? 最後の「国鉄型気動車急行」終焉のはずが、“お隣の路線”で復活のワケ
国鉄型の有料急行 消滅するはずだったが……
2024年3月16日のダイヤ改正では、千葉県の房総半島を走る2つの私鉄でも変化がありました。それは国鉄型気動車の運用です。いすみ鉄道はキハ52形、小湊鐵道はキハ40形を保有していますが、ダイヤ改正を機に運用が変化したのです。 大原~上総中野間を結ぶ、いすみ鉄道の観光急行は、2011(平成23)年より「通過駅のある有料急行」として運行されてきました。しかし、2024年のダイヤ改正で定期運行を終了し、臨時の普通列車として運行されることになりました。毎週土曜日を中心に祝日も運行されますが、「国鉄型気動車の有料急行」は途絶えたことになります。 ところが復活! 国鉄型の気動車急行(写真) ところがその矢先に、五井~上総中野間を結ぶ隣の小湊鐵道が、キハ40形による有料観光急行の運行を発表しました。観光列車「房総里山トロッコ」の車両故障により、急遽キハ40形が観光急行として抜擢されたのです。ダイヤ改正後、変化した国鉄型気動車の今を見るべく両鉄道を訪れました。 東京から土休日にいすみ鉄道を訪れるには、JRの臨時特急「新宿わかしお」が便利です。この列車は大原駅に午前8時55分に到着し、同57分発のいすみ鉄道の普通列車へ乗り継げます。ただ、跨線橋を渡る乗り換えで2分は無理があるので、乗り継ぎ時間は再考してほしいものです。 菜の花シーズンでもあり、いすみ鉄道の単行気動車は満員でした。大多喜駅には9時26分着。そして同駅9時54分発の臨時列車がキハ52形です。「キハ52乗車列」を示す看板があり、20人以上が並んでいました。始発なので座れましたが、上総中野駅での折り返し時はほぼ満席のため、座りたいなら小湊鉄道からではなく、JRで大原駅から行くのが正解のようです。
キハ52形とキハ40形は並ぶ?
2扉セミクロスシートに青いモケット、国鉄時代の広告も飾られたキハ52形は、タイムスリップした雰囲気です。国鉄型らしい重厚なエンジン音と、意外と座り心地のよいボックスシートを堪能しました。進行方向左側の座席は日差しが強いので、座るなら右側がよいかもしれません。10時18分、上総中野駅に到着しました。 ここでは、小湊鉄道の同世代気動車キハ200形との並びが見られます。無人駅なのですが、多客期のためか、いすみ鉄道側には案内員が配置されていました。案内員の指示でいったん列車を降り、再乗車します。ヘッドマークのない側のキハ52形とキハ200形が並ぶ光景は、実に昭和らしいです。 惜しむらくはキハ52形の臨時列車が、休日に2往復運行される小湊鉄道の観光急行とダイヤがかみ合っていないこと。先述の通り観光急行は、キハ40形がピンチヒッターを務めています。両鉄道とも国鉄型気動車にヘッドマークを用意しているのですから、共演が見たいものです。 キハ52形は上総中野を10時33分に出発。唯一、大原駅までの全線を通しで走る列車です。菜の花の景色が続き、撮影している鉄道ファンも多数見られました。 国吉駅で、保存中のいすみ200形やキハ28形、キハ30形が見えたので途中下車しました。ホームでは駅弁「たこめし」が1000円で売られています。価格が安く味も素晴らしいですが、停車時間が短いので売れていないようです。 停車時間を多めに取るか、販売員を乗車させて車内での販売はできないのかと思います。キハ28形は少し痛みが見られましたが、クラウドファンディングで修復資金が募集されています。