トランプ氏、民主党の牙城NYでも善戦-全米で右傾化が鮮明に
中国系米国人のデータエンジニア、デービッド・リウさんは、国境警備と国外での戦争に税金を使うことを大きな問題として挙げた。リウさんはこれまでに、オバマ元大統領に2回投票し、トランプ氏には3回投票している。
「ウクライナやイスラエルを資金援助する代わりに、米国のために使ってほしい」と、サンセットパークで散歩中のリウさんは話した。
マンハッタンのイーストビレッジにあるバー「ダウンタウン・ソーシャル」では、「MAGA(米国を再び偉大に)」の帽子をかぶった若い共和党員たちが歩道にまであふれ、近くのビルの階段でタバコを吸っていた。客は入り口で渡されたトークン(笑顔のトランプ氏が描かれた偽札)で飲み物の支払いを済ませた。
2004年にベネズエラから米国に移住した24歳のコンサルタント、トマス・グティエレスさんは、ハリス政権が誕生すれば、食料品の価格統制を実施するのではないかと危惧していた。「社会主義が裕福な国を破壊するのを目の当たりにしてきた」からだという。
変化はトランプ氏への投票が増えたことだけが原因ではない。ニューヨーク市立大学都市研究センターのスティーブン・ロマレウスキ所長によると、ハリス氏の得票数は2020年のバイデン氏を60万票近く下回った。これはトランプ氏の増加幅の6倍余りだった。
ロマレウスキ氏は「トランプ氏は今回もニューヨーク市で勝てなかったが、得票率を伸ばしたのは主に、ハリス氏に投票するはずだった多くの有権者が投票所に行かなかったからだ」と述べた。
トランプ氏はニューヨークで従来左寄りのユダヤ人社会にも食い込んだ可能性がある。フォックス・ニュースがユダヤ系ニューヨーカーを対象に実施した出口調査によると、5日の大統領選でトランプ氏を支持したのは全体の46%で、全米のユダヤ系票を上回った。ニューヨーク市では、昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃して以来、反ユダヤ的なヘイトクライム(憎悪犯罪)や偏見による事件が急増している。