トランプ氏、民主党の牙城NYでも善戦-全米で右傾化が鮮明に
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領は、今回の選挙で自身の出身地ニューヨーク州を制することができると述べていた。実現はならなかったが、ニューヨーク州は右傾化し、トランプ氏はこの民主党の牙城をじわり切り崩しつつある。
ニューヨーク市および州の選挙管理委員会の速報データによると、開票率97%の時点で、トランプ氏はニューヨーク市で30.5%、同州では43.3%の票を獲得。共和党の大統領候補者としては少なくとも1996年以降で最高だ。民主党の地盤であるマンハッタンでさえ、ハリス副大統領は民主党の大統領候補としては2000年のアル・ゴア氏以来の低い得票数にとどまった。
この変化は、米国の都市や郊外、地方で共和党支持が強まったことを反映しており、トランプ氏返り咲きの原動力となった。物価上昇や不法移民急増の悪影響といった有権者の懸念が勢い付かせた。
全米ベースの出口調査によると、トランプ氏は黒人とラテン系有権者からの支持を拡大した。この2つの層はニューヨーク市の人口の約半分を占める。7日午前の時点で、トランプ氏は全米の一般投票でハリス氏に480万票の差をつけている。2016年と20年の一般投票では敗れていた。
ニューヨークでトランプ氏が善戦した背景には、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の犯罪急増や、市の財源を圧迫した20万人を超える移民の流入がある。パンデミックからの回復に苦戦している間にも、国内の多くの地域と同様、ニューヨーク市民は生活費の高騰に苦しめられた。
共和党支持者が多いスタテン島にあるバー「グラント・シティ・タバーン」では、5日に大統領選挙の結果が出ると、客たちは歓声を上げた。ある男性は米国旗のカウボーイハットをかぶり、ある女性は赤、白、青のリボンで髪を後ろで結んでいた。
壁にはトランプ氏の写真が飾られ、天井は赤、白、青に塗られている。歓喜にあふれる店内には、カントリーミュージック歌手リー・グリーンウッドの「ゴッド・ブレス・ザ・USA」が流れていた。