【記者解説】“カネで人事は動いていたのか…?” 金品授受問題の調査チームが最終報告、名古屋市教委を非難「公正さに対する無神経さが問題の本質」
中京テレビ記者が注目した“2つの結論”
中京テレビ「キャッチ!」では、この問題を取材している鈴木拓己記者が最終報告書に書かれていた内容について解説。注目すべき点として、「カネが人事に影響したのか」、「名古屋市教育委員会OBらによる“内覧”の影響」の2点を挙げました。
カネと人事の結論について、「人事が不当にゆがめられたとは確認されなかった」と報告した調査検証チーム。その理由について、「金品を送っていた団体と送っていない団体で、昇任の割合に差がなかったこと」を挙げています。 名古屋市には校長会など教員による団体が多数存在。それらの団体が推薦名簿と共に金品を教育課に提出したことがこの問題の発端でした。 最終報告書では、こうしたカネが人事に事実上、影響していなかったことが記されていますが、調査検証チームは「金品のやり取りがあったこと自体が言語道断」と指摘。「市民の目から見て、教員団体との癒着とみられないかという点についての問題意識が欠如している」と述べています。
次に注目したいのが、「名古屋市教育委員会OBらによる“内覧”の影響」。調査検証チームによって、人事の際、教育委員会のOBに人事案を見せて意見をもらう「内覧」が行われていたことが明らかになりました。最終報告書にて、「影響を及ぼした程度はごく限定的と推測される」と結論づけられていた“内覧”の存在。 “ごく限定的”ということは、影響が“少しはあった”ことを指しているのでしょうか。 そもそも、内覧で見せた人事案は検討中のもので、もともと変わる可能性があるもの。最終報告書の内容から、内覧での意見を参考にしたケースがあったのではないかと推測されます。
しかし、公務員の守秘義務上、問題のある行為ともいえる“内覧”。実情に詳しい関係者を取材したという鈴木記者は、「内覧は教育委員会側が、会食の場を設け『見てほしい』とOBにお願いしていた」と関係者が語った内容を明かしました。
名古屋市教育委員会の“異常な体質”が明るみとなった「金品授受問題」。調査検証チームは、「こういった一連の行為に最終報告書では、公正さに対する無神経さ、無自覚さ、無責任さを問題の本質としている」と、名古屋市教育委員会を非難する姿勢をみせました。 最終報告書をもって、名古屋市はどのように対応していくのか。今後の動向に注目が集まります。