松本光平が移籍先にソロモン諸島を選んだ理由「獲物は魚にタコ。野生の鶏とか豚を捕まえて食べていました」
オセアニア特有の「お祈り」とタヒチでのサバイバル
OCLはセントラル開催で8クラブが出場。4チームずつに分かれてグループステージ3試合を戦い、上位2チームずつがノックアウトステージに進出して優勝を争う。ウォリアーズは対戦順に、へカリ・ユナイテッド(パプア・ニューギニア)、レワFC(フィジー)、そしてオークランド・シティFC(ニュージーランド)と同組になった。 「初戦のへカリ戦は、かなり圧倒していたんですけれど、シュートがまったく決まらなかったんです。それで焦って前掛かりになっていたら、カウンターからスコンスコンとやられて0-2。次のレワ戦も2-3で負けてしまって、その時点で大会が終わってしまった感じです。オークランド・シティとは、予選敗退が決まり、チームとして完全に心が折れていたので、みんなぜんぜん走らなくなって。僕一人が前プレで、犬のようにボールを追いかけていましたが、結局5発ぶち込まれて0-5で終了です」 敗因は大きく三つ。まず、初戦に敗れて精神面のリカバリーができなかったこと。次に、現地のSIMカードが入手できなかったために家族と連絡が取れず、選手がホームシックにかかってしまったこと。そして「お祈り」によるコンディションの低下。いずれも、松本光平がいうところの「オセアニアサッカーあるある」である。このうち「お祈り」については、本人に説明してもらおう。 「ニュージーランドを除いて、基本的にどこの国でもチーム全体の『お祈り』があるんです。それこそ、徹夜でやるときもあって『試合前に徹夜はよくない』って言ったら、逆にこっちがおかしいと思われるんですよね。参加を拒否してメンバーから外されることもありました。今回はキャプテンだったので、率先してやりましたけど(笑)、徹夜は1回だけにしてもらいました」 結局、3試合で大会を終えたウォリアーズ。だが、その後も2週間にわたってタヒチに留め置かれることとなる。理由は「チームが選手全員のビザ手続きをしていなかった」から。今大会では、教会の施設を無償で借りて宿泊し、食事はオーナーのポケットマネーで賄われていた。ところがグループステージ敗退が決まると、食事と水の供給が止まってしまったという。その後、ソロモン諸島に戻るまでの間、自給自足の生活を余儀なくされた。 「どういうやりとりがあったかわかりませんが、教会の敷地内にあるココナッツやマンゴー、あとは動物とか魚は自由に獲っていいことになりました。水分補給はココナッツを剥いて、ココナッツウォーターを飲んでいましたね。チームメイトは自分たちで槍を作って、魚を刺して捕まえていましね。獲物は魚のほかにタコが多かったです。あとはウニとか、海ぶどうとか。海産物以外だと、野生の鶏とか豚とかを捕まえて食べていました」