センバツ高校野球 八戸光星、8強逃す 再三の好機、あと1点 /青森
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)第6日は25日、1、2回戦が行われ、八戸学院光星(青森)は第2試合の2回戦で昨秋の明治神宮大会を制した星稜(石川)と対戦。2―3で惜しくも敗れ、準優勝した第84回大会(2012年)以来、12年ぶりの8強入りはならなかった。【藤倉聡子、林帆南】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 悔しさが残る、一回の攻防だった。先頭打者の主将・砂子田陽士は2球で追い込まれた後、ストライクゾーンいっぱいの低めの変化球に手が出ず、見逃し三振。「チームを勢いづけられなかった」と唇をかむ。その裏、エース左腕の洗平比呂は先頭に四球を与えると、後続に3安打を浴びて2点を失う。速球に本来の力が無く、甘く入った変化球も痛打された。 それでも、回を追うごとにギアを上げた洗平を打線も援護した。三回、小笠原由宇の死球を足がかりに渡部主衣の安打などで2死満塁。この好機で「絶対に走者を還す」と打席に立った4番・山本優大は、「カウントを取りにくる」と読んだ2球目の内角直球を中前へ運び、同点とした。 四回は1死から三上祥司が目の覚めるような鋭い打球を左越えに放ち二塁打とするも、後続を断たれた。六回は俊足の佐藤凌が投前に絶妙のバント安打を決めたが、これも得点には結びつかず。二遊間をはじめ、ピンチで好守を連発する星稜を前に次の1点が遠い。 六回に相手の幸運な安打と果敢な走塁で勝ち越され、迎えた九回の攻撃。1死無走者で代打に起用された寺沢海音は、「何が何でも食らいつくつもりだった」。追い込まれてから、球をしっかり見極めようとノーステップ打法に切り替え、外角速球を中前へはじき返した。同点の走者を出し、2死から代走・岡本大地が二塁を狙ったものの、あと一歩届かず試合終了。昨秋の覇者の壁を越えることはできなかった。 完投した洗平は「この試合を忘れずに、全員で夏に向かいたい」。砂子田は「ピッチャーを援護できるよう、打力を上げる。皆で甲子園を経験したことは、大きいはず」と前を向いた。 ◇チア部も熱い声援 ○…八戸学院光星のアルプス席では、チアリーディング部員3人が一般生徒と共に声援を送った。メンバーが足りないため、ダンスなどのパフォーマンスはなし。部員の一人、小野れいなさん(新2年)は、「選手たちには、後悔の無いプレーをしてほしい」と話す。チア部の目標は、新学期に5人以上の新しいメンバーを迎えること。「甲子園での感動を伝え、新入生を勧誘したい」 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇レギュラー目指す生徒会長 八戸学院光星 正岡龍之助さん(3年) 1月に信任投票を経て生徒会長に任命された。目標は、「野球部が大切にしている『あいさつ』を全校に広めること」だという。 高知市出身。市立介良(けら)中では軟式部で外野手としてプレーした。「強打の光星」に憧れて八戸学院光星に入学。温暖な高知育ちにとって、青森県八戸市の冬はつらかったが、それも2度目で「だいぶ慣れることができた」。 チームの関西入り後は、他の控え部員共々、打撃練習の補助を務めたり、練習会場のグラウンド整備をしたりして、メンバーを献身的に支えてきた。8強入りはならなかったものの、接戦の1回戦を物にしたチームに、「昨年の秋と比べ、打線を中心に成長した」と実感している。 今後も「チームが目指す全国制覇のため、自分ができることに積極的に取り組む」と話すが、自身の目標はもちろんメンバー入り。生徒会長としては、「学ぶ環境を整えることにも力を入れたい。生徒の意見が反映される学校を目指す」と意欲満々だ。