【前へ】大雨で藍甕(あいがめ)50個が水につかった「久留米かすり」の工房 工房再開へ一歩ずつ 福岡
FBS福岡放送
国の重要無形文化財に指定されている「久留米かすり」の展示販売会が15日、福岡県八女市で始まりました。出店したのは、記録的な大雨で2023年7月に被災した工房です。復興に向けて前に進んでいます。
■中村安里アナウンサー 「色鮮やかな久留米かすりの商品が並んでいます。近くで見ると柄が細かくて、触り心地は柔らかいです。」 15日から福岡県八女市の伝統工芸館で始まった久留米かすりの展示販売には、手織りの布で作られた服や小物などが並んでいます。手がけたのは、福岡県広川町にある「森山絣(かすり)工房 藍森山(あいもりやま)」です。 ■森山絣工房 5代目・森山哲浩さん 「これは黒に近い濃紺なので、藍染めだけでも40回以上染めている。染めるだけで3~4日。」 職人が手織りで生み出す繊細な模様と濃淡で、久留米かすりの藍色は表情を変えます。
およそ160年、6代にわたって受け継がれてきた森山絣工房は2023年7月、九州北部を襲った大雨で被災しました。 ■森山哲浩さん 「甕(かめ)が完全に水没するような大雨に見舞われたので、それで水濡れしちゃって。」 近くを流れる2つの川が氾濫したことで、工房では糸を染める「染め場」が浸水し、藍染めの原料を入れていた「藍甕(あいがめ)」50個が水につかりました。 ■息子・典信さん 「これもうダメだなと思って。何もできない。」 被災からこれまで、森山さんたちは新たな作品を作ることができず、浸水を免れた商品を販売してきました。今回はおよそ250点を販売します。一部、水に浸かってしまったものも、きれいに洗った上で、値引きして販売しています。 ■森山哲浩さん 「藍染めが全く1年以上使えなかったので、新しい作品は作れなかったですから、古い作品をひっぱりだした。手織りの柔らかさを感じてほしい。」
被災から1年以上、新しい作品を作れない状況が続いていましたが、広川町の工房を訪ねると。 ■息子・典信さん 「今、解体を行っていて、屋根とか撤去しています。」 2025年4月の工房再開を目指し、ようやく一歩を踏み出していました。 ■典信さん 「去年からずっと復興に向けて動いてはいたのですが、目に見える一歩がなかなかなくて、ようやく進み始めたのでちょっと安心感もありますし、より一層がんばらないとなと思います。」