「年収の壁」変更で熊本県は約485億円の税収減と試算 木村知事は「住民サービスの低下」を懸念
国会での議論が注目されている、いわゆる「年収の壁」の問題について。 熊本県の木村敬知事は、国民民主党が求める所得税・住民税が非課税となる年収をそれぞれ75万円まで引き上げた場合、県内では個人住民税が約485億円の減収となる試算を明らかにしました。 【表を見る】「年収の壁」見直しによる影響 「地方交付税」減少の可能性も 「年収の壁」とは、年収が100万円や103万円を超えることで、住民税や所得税が発生する問題のことで、課税されないために働く時間を調整する「働き控え」も課題となっています。 この壁をめぐって、国民民主党は非課税となる年収の引き上げを求めていますが、その場合、国と地方では、あわせて7兆円を超える減収が見込まれています。 木村知事はきょう(15日)の会見で、国民民主党の案の通りに基準が見直された場合、個人住民税は熊本県単体で約150億円、市町村で約335億円の、あわせて約485億円の減収となる見通しを明らかにしました。 約150億円は、熊本県の税収の1割弱にあたるということです。 熊本県 木村敬知事「減少になるっていうことはその分だけ住民サービスが低下してしまいますし、特に県単独でやるようなきめ細やかなサービスを辞めざるを得なくなることも懸念されます」 このため、木村知事は総務省と財務省に対して「住民サービスの低下が起きないように地方税への影響などを慎重に見極めながら議論してほしい」と口頭で申し入れたということです。 なお税収への影響をめぐっては、11月8日、熊本市の大西市長が市単体で約170億円の減収となる見通しを示していました。 ■所得税などが財源の「地方交付税」も減少の可能性 (スタジオ解説)地方の税収をめぐっては、住民税のほかに、地方自治体にとっては大事な財源の1つで、所得税などを財源とする国からの「地方交付税」も減少する可能性があります。 この点から「住民サービスの低下」が懸念されています。 さらには年収の壁が見直されることで、「非課税世帯」が増加することになります。すると、保育無償化や低所得者向けの給付など「非課税世帯」を対象とした支援の歳出が増えると見込まれています。
熊本放送